第5話/突如訪れた非現実
はい?
「……え? ちょっと何言ってるのか分からないんですけど」
「聞いた通りだ。信じられないかもしれないが、これは真実だ。受け入れてくれ」
淡々と訳が分からない事を言う黒井さん。一瞬ここが夢の中なんじゃないか、と錯覚を起こしそうになる。
僕は一番不可解な事を聞いた。
「まあ百歩、いや一億歩譲ってそれが全てホントだとしたら、何で僕なんかを選んだんですか?」
「それはたまたま私がこの辺りで資質のありそうな人間を探していたところにたまたま君がいただけだ。原宿を歩いていたらスカウトに声をかけられた、みたいな認識で大体合っていると思うよ」
まじかー。
スカウトかー。
何故だか、僕は納得していた。いや、あまりに非日常の事が多過ぎて思考が追いつかない、と言った方が正しいかな。
「難しく考える必要は無い。ただちょっと『魔法』を使って奪われた3つの魔法石を集める。それだけだ。確かに危険は伴うが、任務が成功すれば君は世界を救った英雄として語り継がれることになる」
英雄……!
「そう、英雄だ。もし君が世界を救えば、君の存在を全世界に証明する事になる」
僕の……存在証明……!
「やります......!」
気付いたら僕はそう言っていた。




