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第2話/人の名前間違えると結構恥ずかしい

 

 ツッコミ所が多過ぎて頭がパンクしそうだが、一番訳の分からない事を質問した。


「黒井さんでしたっけ。空間管理局って具体的に何を管理するんですか? と言うかそんな管理局ホントにあるんですか?」


「ふむ、私の名前は黒岩なのだが……まあ良いか。確かに説明不足だったかな。空間管理局とは簡単に言ってしまうと、人間が生きるここ現世と、怪物と呼ばれる奴らが棲む魔界との境界線を管理して、人間と怪物の衝突を防ぐ為の局だ」


 いやいやおじさん、いきなり怪物とか魔界とか言われてもそんなの信じる訳がないじゃん。


「全く。自分の物差しで測れないものは何でも頭ごなしに否定する、人間の頭の固さは何年経っても変わらないな」


 確かにそうかも知れない。って言うかあれ? 何で僕の考えてる事が分かったの?


 もしや声に出てた?


「いや、声には出てなかった。言い遅れたが、私は人間の思考を読む事が出来る」


 え?まじで?羨ましいなぁ〜。


 って、何さらっと衝撃告白してんの?そう言うの早く言ってよー。


 マジでこの人は只者じゃないのかも。


「もう一つ言っておくと私は人間じゃない。この姿も、現世の為の仮の姿だ」


 そう言うと、おじさんは帽子で顔を隠した。一瞬顔が揺らいで見えた。そして、隠していた帽子を取ると、そこには僕がいた。


「フフ、驚いたかい? 私は一度だけでも見た事がある物なら何にでもなれるのだよ」


「え、何にでもなれるの? じゃあさ、ゴリラとかになってみて!」


「断る。他人の顔で遊ぶな。さて、本題に入るぞ」


 僕の提案を一蹴して本題とやらに入るらしい。人間じゃない黒ずくめの男の話だ。嫌な予感しかしない。




「げ、疾風宮じゃん。……え、何その黒い人」


 そこに、見知った顔が入って来た。


 黒いパーカーに黒のチノパン。首元には大きな黒のペンダントがかかっている。黒ずくめの男がここにもう一人。


 顔は整っているが、長めの銀髪に隠れそうな目から発せられる他人を拒絶する暗い光のせいで、見た人にゾッとする不気味な印象を与えている。


「彼は誰だ?」


 黒い人(笑)が聞いた。


「僕の友達、狼月灰君です」


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