表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
121/139

第2話/行動開始

早いもので実は今日でワタクシ中二病は生誕1周年を迎えるんです。これは遅筆な作者が頑張って書いた1周年記念の更新回です。


これからもよろしくお願いします。そしてHappy birthday to me!

 

「…………ああ〜、よく寝た」


 一仕事終えて結社の休憩室で惰眠を貪っていたレラジェは目を覚ます。大きく伸びると、長時間机に突っ伏して凝り固まった全身の関節がパキパキと鳴った。


「起きたか」


 と、隣で声がする。それが自分に向けられたものだと悟ったレラジェは寝ぼけた頭でアイマスクを取る。


「? ……ああ、フォラスのオッさんか」


 レラジェが見たのは、腕まくりをしたヨレヨレの白衣を着た中年だった。レラジェが起きるまで隣の椅子に座っていたらしい。


「どうだ? 俺の新薬は上手く作用したか?」


「……作用しなかったらこんな所で呑気に寝てねぇよ。()()()()()()大成功だ」


()()()? という事はもしやお前さんしくじったのか? 『気配を完全に消す』お前さんでも狼男に通用しなかったのか?」


 意外そうな顔をするフォラスに、レラジェは失敗した記憶でも思い出したのか苦々しく口を開く。


「……気配は完全に消したはずなのに、野生の獣ってヤツは勘が鋭くていけねえ。それに、アイツの反応速度……異常だぞ。……化け物レベルをはるかに超えてる」


「ふーん……。ま、無理ないさ。なんたって相手は中世の怪物・狼男なんだからな。で、どうしくじったんだ?」


「内臓腐らそうと狙ったんだが……直前で気付かれて邪魔されたせいで腕かすっただけになっちまった。殺す計画ズレちまったぜ……。後でボスに報告だよな……。……面倒くせえ」


 レラジェは心底面倒くさそうに頭を掻いた。




 * * *




「――という事が起こったんだ」


 翌日の放課後、黒岩さんと初めて会ったあの喫茶店にて。

 俺はそこに黒岩さんと疾風宮とヴラドを呼んで、昨日起きた出来事を全て話した。結社のこととか、桃瀬の腕のこととか、全て。


 一通り話し終えて「ふう」と息を吐くと、黒岩さんが渋い顔をして腕を組んだ。


「これは由々しき事態だ」


「……なぜここにルシファーがいるのかはさておき、全くその通りだな。桃瀬さんが目の前にいながら護れなかったなんて」


 棘のある口調でヴラドが言い放ち、コーヒーを一口。


「……いちいち突っかかって来んなよ。責任感じて死にたくなっちゃうだろ」


「まあまあ……。レラジェは殺気、闘気などの『気配を完全に消す』能力を持っている。それ相手に反応出来ただけで凄いのに、致命傷を回避させたんだろ。十分じゃないか」


 黒岩さんはヴラドをいなし、さりげなく俺もフォローしてくれる。良い人だ。


「でも桃瀬さんを助ける条件が魔法石全部とは……。結社も足元見てるよね」


 疾風宮はシリアスな雰囲気で伏し目がちに呟き、ヴラドのようにココアをグビリと飲む。


「あっつ!」


 で、口の中を火傷した。慣れない事はするもんじゃありませんよ……。


 あまりに熱くて疾風宮が涙目になっていると、ふいにその瞳が黄色に染まった。


「で、どうすんだ? まさか大人しく魔法石渡す訳じゃねーだろーな」


 前髪を搔きあげ粗雑に言い放つのは、疾風宮に憑依しているフュルフュールだ。憑依の証拠である黄色に染まった瞳がらんらんと光る。


「そうだ。奴等の手に魔法石が渡ったら、異世界門の封印が解かれてこの世界に怪物や悪魔が雪崩れ込むだろう。世界のバランスはあっと言う間に崩れ――この世界は怪物どもの植民地だ。奴等もそれを狙っている」


 結社の内情を知っているからか、黒岩さんの話には反論出来ない現実味がある。背筋が寒くなった俺はぶるっと身震いしてそれを紛らわせた。そして咳払いをかまして一同の視線を集中させた。


「皆、俺に考えがある」


 改めてそう宣言して、ポケットの中から結社の住所が書かれた紙切れを出した。


「明日、皆で結社に殴り込もうぜ」


「ええ…………」


「はあ……」


「む……」


 疾風宮・ヴラド・黒岩さんは顔をポカンとさせた。あれ、皆ピンときてない?


「本来コンタクトを取る為に指定された日時は二日後、つまり明後日だ。そこで馬鹿正直に明後日に殴り込みしても、奴等万全の準備してそうだから返り討ちに遭うのは必至、だろ? だからあんま準備整ってなさそうな明日、不意打ちで結社ブッ壊す!」


 グッと拳を握ると、フュルフュールから解けた疾風宮はクスッと苦笑した。


「灰君らしいや。僕は乗る」


「……おう、ありがとよ」


 うん。理解者って大切。たった一人でも。


「君の案に賛成するようで遺憾だが、不測の事態は混乱を招きやすいのは確かだ。それに、桃瀬さんの報復もしないといけない。まぁ、君の案に賛成するようで遺憾だが」


 ヴラドが少し悔しそうにそっぽを向く。そんなに俺に賛同するのが苦痛なのかコラ。


「うーん……。まぁ、私達には結社と闘う選択肢しか無い訳だし、どうせならその可能性に賭けるのも悪くない、な」


 疾風宮の賛成を皮切りに、結局皆賛成してくれた。


「狼男と吸血鬼、風魔導師に、内情を知る堕天使。メンツは最高じゃねーか。いけるぞこれ。……という訳で明日の夕方集合ね」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ