第13話/最終決戦・その1
「失礼しまーす」
窓はカーテンで閉め切られ、簡易机をパイプ椅子が囲み、奥に一人用ソファーが鎮座するだけの殺風景な生活指導室に俺達は足を踏み入れた。生活指導室なんて銘打ってるが実際は生徒を監禁して散々甚振り倒すだけの部屋だから余計なモノはいらないんだろう。ちなみにこれ経験談ね。
「よォ、来たな」
一人用ソファーに体を沈めていた原田が首だけ動かし俺達を俯瞰する。いつも通りの半袖シャツに下はジャージの出で立ちだ。
「まるでどこぞの社長みたいっすね」
「黙ってろ病人。自分ら、何でここに呼び出されたか分かってるのか?」
原田は軽口を叩いた俺を睨み付け、「ギシ……」とゆっくり立ち上がった。
数秒、沈黙が続く。
「原田先生。私達からも話があります」
それを破ったのは我らが学級委員の桃瀬である。表情は固いがどこまでも凛とした声で。
「ワタシ達生徒への暴言・暴力をヤメて頂けませんかねえ」
それに追随するように山吹は原田に言い寄る。……これ言う係は桃瀬だったんだけどな。まぁ桃瀬もやりやすそうだからいいか。
しかしまぁ、クラス纏める学級委員とカースト頂点の金髪ギャルがこうタッグを組むと……。凄え強そうだな。なんか少年マンガの展開みたいでオラ、ワクワクすっぞ。
「暴言・暴力……? この聖人君子の俺がいつそんな事したんだ? オイ証拠。証拠出せよ。出せねえだろ。ったく、いい加減な事言ってんじゃねえよ!」
原田は大声で怒鳴り俺達を威圧する。と言うか桃瀬と山吹を威圧する。
「そーだよな出せねえよな。匹田によると自分らロクに動いてなかったんだよな。あーあ残念。もし証拠でもあれば――」
「証拠でもあれば認めざるを得ないのに、ですか原田先生? あなた今墓穴掘りましたよ」
疾風宮が原田の言葉を遮りズボンのポケットからスマホを取り出す。
「そんなに証拠欲しいなら見せてあげますよ。僕たちが三週間耐え忍んで集めた珠玉のコレクションをね」
恐らくずっと考えていたのであろう渾身の決め台詞を吐き、疾風宮はスマホをちょちょいと操作し、印籠の如くそれを原田の鼻先に突きつける。
『またか狼月! ホントよく忘れるよな! 自分、脳の病気なんじゃないのか⁉︎』
静かな教室に、少し音割れした原田の声が響く。
「自分いつの間に……匹田あの野郎嘘吐きやがったな!」
「フッ。聖人君子、ねえ……」
疾風宮がボソリと呟き、「お次はコレだ」と画面をスワイプする。
『おい、こんな短いスカート穿きやがって何だ自分、俺の事誘ってんのか? 誘ってんだろ?』
『ちょっ、触んないでくださいよ先生』
『黙れクソビッチ。ヤラせろよクソビッチ』
「待て。ちょっと待て自分。これはヤバい」
「あらあら、スキンシップ通り越してもはや立派な犯罪ですねえ」
また疾風宮は呟いた。しかしまぁコイツの盗撮スキル無駄に高いな。将来が心配。
「あとは……」
『
「もういい! やめろ!」
動画を再生しようとした疾風宮を原田が両手で制した。
「その発言は自分のやってきた事を認める、と捉えて良いですね?」
慌てふためく原田と対照的に、冷静な疾風宮。なんかコイツ心なしかドヤ顔してる気がする。うぜえ。
原田は疾風宮に返事もせずにひたすら壁の一点を睨みつける。この状況を打破する良い策が無いか必死に探しているんだろう。
その間に俺達の作戦を説明するとしよう。
そもそも原田は俺達を説教する為に呼びつけた。逆に言えば俺達に悪事を暴かれるなんて心配はしてない、つまり油断しているという事だ。そんな所に「証拠」を突きつけられたら動揺するに決まっている。そうして思わず口に出したボロを戸隠さんに仕込んだボイスレコーダーに録音して言い逃れ出来ない状態にしておく。
とまあ、こんな感じだ。
これまで作戦通りだ。この後どう動こうと、原田、お前は破滅する!
俺が勝ち誇った笑みを浮かべたその時、原田もニヤリと笑った。
「自分ら、ブレザー脱げ。持ち物検査の時間だヨ」
悪魔の微笑みで、原田は俺達にそう言った。
気付きやがったのか、コイツ……。
無駄欠席すみませんでした。次回はなるべく早いうちに投稿しようと思います。




