竜のお手入れをする人間の話
【前話の粗筋】
狐の家族に逢った竜と人間。
人間→九尾の狐(牡)と人間の男というカップリングに恐れ戦く。いくらもふもふ好きでも、ソッチの意味で襲われるのはムリッ。……仔狐が二匹もいるんですけど……。
竜→……あれ?こっちの人間が震えています。病気かな?それにしても、尻尾を奥さんの人間に巻き付ける狐……いいなぁ、僕の尻尾を巻き付けたら、痛いよね?
この頃、ちびの様子がなんだか変だ。
人間で言うなら、頭の後ろから背中にかけて……たてがみ?をやけに擦り付けてくる。
痒いのかな?と思いつつ、掻いてやるけど、すぐまた同じことを……。
こら止めなさい。
無理に首をひねるんじゃない。
そんな格好したら、寝違えたみたいになるぞっ。
……虫でも沸いたか皮膚病かな……。
虫下しの薬草湯。
皮膚病に効く軟膏。
虫除けの香木。
ほーら、ちび、口開けろ。あーん。無理やり口を開けさせて飲ませたり。
乗った時にこっそり塗り込んだり、燻したり。
あっ。マズイ。煙りで涙目になってるっっ。
あのデカイ蛇が来ないうちに、逃げないと!
……治んないなぁ。
ただの癖なのかな?
ちびのたてがみはゴワゴワなので、あんまり擦られると、地味に悲しい。
あぁ、このたてがみがもふもふだったらなぁ。
大好きな。
大好きな。
ふわふわ。
もふもふ。
ふかふか。
あのなんとも言えない触り心地。
思い出すだけでうっとりしてしまう。
なのに……この間の狐の親子に遭ってから、微妙にトラウマが……。
……もふもふが大好きなのは変わりないけど、種族やら性別やら無視して襲われたい訳でも無いし。もちろん、もふもふを孕みたい訳でも無い。
うう……思い出したらまた悪寒が……。
ちびのたてがみはゴワゴワなんだよなぁ。
……。
もふもふにならないかな?
ふわふわ。
もふもふ。
ふかふか。
を目指して!
ブラッシング。
マッサージ。
トリートメント。
でも、やっぱり。
たてがみはゴワゴワ。
……。
菜種油。
椿油。
オリーブ油。
ラベンダー油。
高級品の彩雲。
希少品の銀苔。
ちびのたてがみのお手入れにいろいろ使って実験中。
……竜の鱗の粉は効かないよなぁ?
ふわふわ。
もふもふ。
ふかふか。
……。
正直ものすごく、そそる。
でも……ちびには無理っぽい。
最近は。
さらさら、しっとりを目指してたてがみのお手入れを頑張り中。
……ついつい油を塗りすぎて、べとべとのてかてかになってるのは、ちびには内緒だ。
一旦、完結します。何かまた思い付いたら、掲載します。閲覧ありがとうございました。