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竜になった蛇の話  作者: 涙
1/10

蛇の話

僕は蛇です。

小さな白い蛇。

卵から孵ったばかりのところを拾われました。

とても運が良かったです。



なぜなら、僕の皮を目当てのはんたーがすぐ近くまで来ていたからです。








「あぁ、もふもふ。やっぱりもふもふは正義だよね」


僕を拾った人間は獣の毛皮が好きみたいです。


「あぁ、たまんない~。うふふふふ」


……。

違った。

ものすごく、好きみたいです。


僕は蛇です。

小さな白い蛇。

毛皮はありません。

皮はあるけど……。


僕も時々撫でられます。

でも、少し触ったらもうおしまい。

『やっぱり、ひんやりしてるね』とは言われたけど……。









蛇は大きくなるとき、脱皮するそうです。


大きくなったら、毛皮が生えるかな?と思っていたら……蛇はずっと蛇のままなんだって。


……。

だって、芋虫だって蝶々になるでしょ?

芋虫があんなにヒラヒラになるんだよ。

僕も姿が変わるのかな?って思ってたの。








今日は、すごいこと聞いちゃいました!!

この世界の生き物は、ものすごく頑張って魂の力?を貯めたら進化って言うのが起きるそうです。

ものすごくってどのくらいだろ?


僕にも毛皮ができるかも?


そうしたら……。



『うふふふ。お前のもふもふがやっぱり一番だね』



頑張ります。








あれから何年も経ちました。まだ進化は起きません。



脱皮は2回したけど、蛇のままです。

あとどのくらい頑張ったらいいのかな?








僕はどうやら、普通の蛇じゃなかったみたいです。

魔法が少し使えるようになりました。

たまに普通の蛇に会うこともあるけど、何を言ってるか全然分かりません。

人間の言葉は分かるのにね。


「もふもふを傷つけるのは許さんっ」


今日も人間のお手伝いで、襲ってきた魔獣に向かってぴかっ、と目潰しをしました。

その隙に、目が見えない魔獣に向かって人間が腕を振り上げました。



あっっ。



……僕は、魔法を使うために、頭を少し人間の腕から離していました。

いつもはちゃんと巻き付いていたのに。巻き付いていた腕を振るわれて、僕は魔獣に向かって飛んで行きます。


でも、だって、まだ毛皮が。








そろそろ、と目を明けます。

僕はまだ、生きてるみたいです。



あれ?

何か変です。

でも、何が変なのか分かりません。



おや?

人間が小さくなっています。

もしかして、さっきの魔獣は呪法が使えたんでしょうか?



「竜だとっ」



えっ。竜!?

どこ?どこにいるの?



竜とは伝説の生き物で、ものすごく大きくて、強くて、魔法もたくさん使えて、とっても長生きなんだって。








竜は僕でした。

僕は竜になっていました。

人間が小さくなったんじゃなくて、僕が大きくなっていたんです。


……。

僕は蛇でした。

小さな白い蛇。

でも、今は竜です。

蛇のときは白くて、丈夫だけど柔らかい皮でした。

でも今は同じ白でも、固そうな鱗。




……。

もしかしたら、どこかに毛皮があるかもしれません。






ありました!

頭の後ろにたてがみ?がついてました。

これなら……。






だめでした。

たてがみを人間に向けようとしても、頭の角が邪魔をします。

後ろ向きだと尻尾が……。

前は小さかったから良かったですが、今は大きくなってしまったので人間の手が届きません。


一生懸命話してみましたが、全然通じません。


伏せをしてみましたが、人間は近づいて来ません。



……。



あれ?

人間が冷たっと言っています。

雨も降っていないのに?



あれあれ?

僕の目から水が出て来ました。

どうしたんでしょうか。

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