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プロローグ 始

「さて、戦いも最終局面に入った。そこでお前らにはこの戦いが終わった後の俺の旅の下見を頼みたいと思う。」


 《何もない部屋》と我らが王。【魔神大帝】様が名付け、作った空間に我ら四天王は集結していた。


 今回のような会合は【魔神大帝】様が強大な軍を作り上げ、我らを四天王に位置付けしてからは初めての事で重大なことだと認識していた。しかし、それよりも僕は今の話を聞いてひっかかる点があった。


「……それは我らが仇敵【創造神・全】を滅ぼすための戦闘には参加できないという事ですか?」


 僕と同じことを思っていた四天王の一柱、【死】が灰色のローブからでも見てわかる妖しい体つきに相応しい艶やかな口調に僅かな動揺を乗せて【魔神大帝】様に尋ねる。すると【魔神大帝】様は何事もないかのように頷かれた。


「……別に仇敵ってわけでもないんだが…まぁうん。何かもう面倒になったから8人で奇襲掛けて永遠に封印することにした。つーかそのキャラ何なの?」

「っ! 恐れながら我が王よ! それは危険でございます!」


 四天王のもう一柱である【王】が声を荒げた。僕も同じ気分だ。【魔神大帝】様が挙げる8人とはおそらくアハト様、ノイン様、エナ様、ひとみ様、ドイス様、それにカムサ、ディエスの事だろう。


 5人であれば我らだが、8人であれば【魔神大帝】様はこの方々を指す。今回は8人パーティの方で、それは我らに比べてバランスの良いパーティだが僕は得体の知れない不安を感じていた。


「何で? ……後、俺王になった記憶がないんだけど?」


 【魔神大帝】様がそのご尊顔を傾げる。まさに絶世の美男子と言えるその顔を前に我々は何も言えなかった。

 だが不安だ。四天王の女性陣である【死】と【破】の2人に対しての瞳様から感じる波動を見て味方であるはずの我らにも不安を隠しきれなかったのだ。


 だが、それを口に出すことは出来ない。【魔神大帝】様は否定なされておられるが、公然とした恋人関係であるお二方を引き剥がすことは我らに出来るわけがないのだ。


 我らが黙っていると【魔神大帝】様は話題を変えられた。


「……まぁいいや。とりあえず俺はこの戦いが終わったらこの世界から出ないと面倒事になるからどっか行く。『天に二日無し』ってね。王は別に作ってんだからもう一個の頭は消えないと。その為の旅の下見ね。」


 ……そちらも我らには納得いかなかった。今、この戦いにおける軍の大半は【魔神大帝】様に仕えているつもりで命を投げ出しているのだ。

 我らにだけ伝えてある旅に出られるというこの事実を知れば大混乱になるだろうし、軍は瓦解するだろう。


「何か納得いかなさそうにしてるが……俺も【全】の野郎と同じで大体何でもできるから俺が統治すれば折角革命しておいたのに人間が何かを成すこともなくなって社会が崩れるって何回も言ってるよな?」

「理屈では分かりますが……せめて我らだけでも旅のお供を……」


 僕が口に出したのは先の話だ。すると【魔神大帝】様は首を傾げられた。


「あれ? 【魔】……俺お前らには一応付いて来させる予定だぞ? 言ってなかったか?」

「「「「え?」」」」


 四天王の声が被った。


「いや……多分俺一人で行ったら二度と連絡取らないからな~お前ら通して傀儡に連絡取らせてこの世界とも関わっとかないと流石に後味悪ぃし。何か思春期迎えて変に拗らせたまま放置はアレだしよぉ……」

「し……しかしこの前は誰も連れて行かないと……」


 【破】が慌て気味にそう言うと【魔神大帝】様は仰った。


「それ8人グループの方。お前らは付いて来させるつもりだったが……嫌ならいいや。ん~……第1世界の連中連れて行くと遊びにならんしなぁ……」

「「「いえ!」」」

「嫌と仰せになっても付いて行く所存でございます!」


 誰一人として【魔神大帝】様から離れることを望むはずがない。我らはこの方にすべてを与えられたのだ。この方に全てを捧げなければ生きる意味がない。


「……嫌って言ったら放っておいて欲しいんだがなぁ……」


 【魔神大帝】様はそれを望まれていないが、我らの心は同じだ。望まれていなくても我らは全てを捧げる。


「……飽きたり我に返ったらやめていいからな~……で、とりあえず【死】と【王】と【破】は面白そうなところを何個か見つけに行って。」

「「「はっ!」」」


 ……もしかして僕だけ別使命か? 何とやりがいのあることだろう……


「で、【魔】。お前は第1世界の魔法世界エクセラールの下見な。一応この戦争が終わってから一番最初に行く予定だから。」

「はっ!」


 光栄なことだ……まぁ他の3柱の視線が痛いが……それも心地よい。【魔神大帝】様に役立ててもらっているという優越感だ。


 そんなことを考えていると【魔神大帝】様は最後に仰った。


「じゃ、任務放棄は事前に連絡を入れること。行った先の神には一応挨拶をしておくこと。しばらく戦争で忙しいから連絡は控えること。時間の流れが違うから注意しておくこと。行く前には俺の方から通知送るから返事をすること。何か質問があったらすぐに訊くこと。それが分かったら全員行け。」


「「「「はっ!」」」」

「じゃ、マギアスだけ《エクセラール》の転移は難しいから俺が特定して送る。他は適当に出発してろ。」


(フフフ……僕だけ【魔神大帝】様の術で……)


 こうして我らは旅立った。




 ここまでどうもです。


 さて、一応言っておきますと、主人公は基本的に【魔神大帝】の前では忠臣キャラになり切ってます。地は諸事情があって結構緩いので予めご了承を。


 それでは引き続きお願いします

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