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キミの行方

 メレンゲが焼きあがれば、モヤモヤは過去のものだ(ということにしてやる)。

 焼きあがったメレンゲが湿気ないように実用重視のタッパーに移す。そうしてキッチンに置いておけば、明日にでも母親が職場に持っていくはずだ。


 隣の席の奴がなんだってんだ。

 俺は彼女が好きなものは何でも知っている――わけじゃないけれど、昨日一緒に行ったコンビニで彼女が心惹かれたものくらい様子を見れば分かる程度には彼女を理解してるんだ。


 気分を改め、コップに牛乳を入れてレンジでチン。


 ボウルに砂糖と小麦粉を入れて混ぜ、さらに残った黄身、温めた牛乳も入れてよく混ぜ、レンジで再度チン。



  少し固まった黄身色のそれを滑らかになるまでかき混ぜ、もう一回チン。


  最後にバニラエッセンスを加えれば、カスタードクリームの完成だ。


 うーん、オーブンレンジってかなり便利だ。

 ちゃんとしたカスタードクリームは、鍋に張り付いて焦げ付かないようにひたすらかき混ぜるらしいが、黄身1個のためにそんな手間かけてらんないので、この文明の利器に感謝だ。


 帰り道にあるスーパーで買ったサンドウィッチ用の食パンと生クリーム、それに果物の缶詰を調理台に並べた。

 まず缶詰のシロップをきり、1cm角くらいにし、次に砂糖たっぷりのホイップクリームを泡立てる。


 しかし、菓子ってやつはどうしてこんなにも砂糖が入っているんだろう。

 そのまんま砂糖だけ食べたら、絶対気持ち悪くなる。

 こんな砂糖だらけの食べ物を自分の彼女に食わせていいものかと心配になるが、幸いなことに拒否られたこともなければダイエットの話も聞かないので大丈夫なのだろう。


 食パンに冷めたカスタードクリームを塗り、カットされた果物を散らしてからホイップクリームを重ね塗って最後にもう一度カスタードを塗った食パンでフルーツサンドの完成だ。


 三角に切ったらコンビニで見たやつとそっくりだ。


 自画自賛しながらラップで包み、『晃』と書いた付箋を貼ってから冷蔵庫に入れる。

 付箋は重要。

 うっかり忘れて母親に食われた前例があるから。


後片付けをし、自分の部屋に戻って携帯を手に取る。


 タイミングが重要だ。

 生クリームがぬるくなる前に食べてもらうとしたら、やっぱり朝だよな。

 ちょっと早めに迎えに行って、近くの公園でってのが無難だろう。

 それで、ついでに、そう、ついでに隣の席の奴の話とかも聞くとか?

 彼女の浮気とか、そんな心配はしてないんだけど、ただの知り合いだと笑いとばしてほしい。


 深く息を吸って、吐いて、通話ボタンを押す情けない俺。


「あ、もしもし、俺だけど。明日の朝、少し早く出れないかな?」




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