教室でも構ってくる一匹狼クール系女子
(あ~怠い)
教室に入った瞬間、その場にいたクラスメイト達が一斉に俺を見る。俺はその光景に呆れながら自分の席へ向かう。するとそこに太一が俺の席の机に腰掛けていた。
「……おい邪魔」
俺が告げると太一はニヤニヤしながら
「おいおい、悟にとっての唯一の心の友に向かって辛辣すぎゃねーの。まず朝に会ったんだから、おはようだろ」
「悪いが太一。お前の事を一度も心の友なんて思った事はないぞ。後おはよう」
素っ気なくそう答えて席に着く。太一は机から立ち上がると俺に対してニコニコとする。
「悟、お前いつにも増して不機嫌って感じだな」
「まあ登校中から色々有ったからな」
「そりゃそうだよな。なんせあの神崎燈さんと一緒に登校してきたんだからな」
「……知ってたのかよ」
「クラス中で噂になってるからな」
俺はその言葉を聞き深く項垂れる。まあ予想はしてたけどさ。通学路を歩いてた時にクラスで見た事のある顔が何人か居たし。そりゃ現場を目撃したクラスメイトが教室でその話題を打ちまけるのも当然だと思う。
「お前凄いな。神崎さんと一緒に登校するなんて。いつからそんな仲になったんだよ」
「寧ろそれは俺が聞きたいわ」
一体何が原因で神崎さんは俺と登校する等という暴挙に走ったのだろう。これがイケメンと登校しているとなれば、それはそれで噂になるが噂の質は変わった物になるはずだ。
本当になんでこんな非モテ陰キャと一緒に登校したのだろう? 俺は別に他人からどう言われようが構わないが神崎さんが好奇の目で見られた上で陰口を叩かれる的にさせられるのは……なんか嫌だな。
そんな事を思ってると神崎さんが振り返ってきて俺と目が合う。その瞬間にニッコリと微笑む。そして席を立ち上がり俺の方へと向かってくる。おいおい嘘だろ……。
神崎さんが俺の前まで来たことにより周りがざわつく。俺のそばに居る太一も呆然としていた。
「えっと……ごめんなさい。名前を教えてくれるかしら」
と太一に対して神崎さんが問う。
「あ、野呂太一……です」
「そう野呂君って言うの。影野と随分と親しいようだけど、長い付き合いなのかしら」
「俺と悟は保育園からの付き合いで幼馴染みって奴です」
「そう。だからいつも仲が良いのね」
彼女は優しく微笑みながら頷く。
「私ね、影野の事を気に入っちゃったんだ。だから影野が仲良くしてる人とも友達になりたい……だからこれから宜しくね」
そう告げると彼女は自分の席へと戻っていく。
「おいおい悟、お前一体どんな手を使ったんだよっ」
「知るか。俺の方が聞きたいっての」
本当俺がやった事は些細なことだ。ただ目の前で困ってるから助けてあげただけ。たったそれだけのことなのに。何故こうまで神崎さんは俺に構おうとしてくるのか皆目見当がつかん。
周囲に目を向ける。クラスメイト達が今の光景を目にして戸惑っている者、仲間内でヒソヒソと話す者、俺と神崎さんを交互に好奇な眼差しで見つめている者がいた。まあ当然そうなるわな。俺はウンザリしながら窓に目を向け一言こう告げる。
「世の中には変わり者が好きな物好きもいるもんだ」




