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放課後何故か話し掛けてきた一匹狼クール系女子

「ふうやっと授業が終わったか」


 あー怠い。こういう時はさっさと家に帰ってダラダラするに限るな。こういう思いをするのは毎日なんだけどさ。


「悟ごめん。俺今日部活が」

「おいモジモジしながら言うな気色悪い」


 別に一緒に帰る約束もしてないし、何でそんな彼女みたいな振る舞い方をするんだよ。いや絶対揶揄ってるだけだって分かってるけどさ。


 因みに太一はサッカー部で詳しくは知らないけどフォワードという結構な大役のポジションらしい。


「まあ怪我しないように程々にな」

「あら悟ちゃんたら優しい~」

「張っ倒すぞ」


 全く、基本的には太一は良い奴だがたまにこういう悪乗りをしてくるから困ったものだ。


「まあまあ……じゃあ行ってくるわ」

「おう」


 俺がそう返事をすると颯爽と太一は教室から出て行く。さてと俺も帰るかな。


 俺は教科書や今日渡された宿題などが詰まった鞄を背負って出入り口まで歩みを進める。そのまま教室から出ようとしたら――


「ちょっと待って」


 と背後から声を掛けられた。振り返るとそこには神崎さんがいた。いきなり声を掛けられたことにより俺の脳がショートし掛ける。


 な、なんで神崎さんが俺に声を掛けてきたんだ。ショートし掛けた脳を俺はフル回転させる。これはあれか……美人局的なやつか。そうだよなじゃなきゃ神崎さんが俺に話し掛けてくるわけないもんな。


 いやそれか神崎さんの中で非モテ陰キャの俺に声を掛けてちょっとした良い思いをさせようとしてるのかも知れない。内心で俺の事を馬鹿にしながら。取り敢えず否定をしなければ。


「あのすいません、俺金も持ってないし。見ての通り非モテ陰キャだからって馬鹿にしないで下さい」

「……何を言ってるの?」


 彼女は俺の言ってる意味が分からないのかキョトンとした顔をする。


「いやだから、これはいわゆるアレですよね。美人局か罰ゲーム的な」


 おずおずといった調子で俺が告げると


「貴方、私のことをなんだと思ってるのよ」


 とジト目で睨まれる。どうやら神崎さんの機嫌を損ねてしまったらしい。


「な、ならどういうご用件で」

「その前に貴方……ええと、ごめんなさい名前を教えて」


 どうやら神崎さんは俺の顔を認識していても名前までは認知してなかったみたいだ。それはそれで悲しい。もうこのクラスになって二ヶ月は経つというのに。


 まあでもそれは仕方のないことか。神崎さんは基本的には誰とも交流を持っていないのだから。そりゃクラスメイトで有ろうと名前を覚えようともしないだろう。


「影野悟です」


 俺は背筋を伸ばしてハキハキと答える。


「影野悟……良い名前ね」


 神崎さんお言葉に疑問符を浮かべる俺。そんな良い名前か? 影野って名字の通り俺は陰でひっそりと生きる非モテ陰キャだぞ。なんか馬鹿にされてるようにしか感じないんだが。


「影野君」

「はい」

「この後の予定は?」

「いや俺部活とか入ってないし、このまま帰ろうかと」

「部活入ってないんだ」

「……悪いですか」


 別に俺が部活に入らないのは先輩とかに顧問の先生にいびられそうだし、いやでも縦社会というのを教え込まれそうなので面倒くさいから俺は入ることを断念した。


「なら丁度良いわね」

「ん? なにが」

「昨日のお礼がまだだから。近くに美味しい喫茶店が有るのよ。コーヒーもデザートも美味しいし、お礼もかねて奢らせて頂戴」

「なっ」

 

 それを今よりによって教室で言うのか。まだ他の生徒が居るというのに。


 俺は周囲に目を向ける。女子達はヒソヒソと小声で何なら話しし男子は羨望やら殺意こに満ちた鋭い視線が向けられている。  


「ちょっと一旦外に出ようか」

「えっ」

「良いから早くっ」


 俺はそう言いながら教室から飛び出す。後ろから足音がした。神崎さんが俺を追い掛けて来てるのだろう。


 なんにしても良かった。あのままじゃまた周りが変な勘繰りをして俺を質問攻めにしてくるだろうから。もっとももう遅い気がするけど。


 校門を出て少し離れたところで俺は足を止め振り返る。すると若干息を乱した神崎さん。はあはあと言ってる姿は扇情的で俺ですらドキッとした。俺はそれを表に出さぬよう何食わぬ顔で言う。


「あの……教室で声を掛けるのやめてくれませんか?」


 俺は思った事を神崎さんに対して告げる。それはこれ以上目立ちたくないないからだ。さっきだって、その場にいるクラスの連中から様々な視線を向けられた。正直かなり心臓に悪い。


「え?」


 そんな俺の切実な心情を知らない神崎さんは悲しげな表情を浮かべる。下手をしたら今にも泣き出しそうだ。


「いやあの、別に神崎さんの事が嫌いとかじゃなくて。俺は出来れば目立たずに日々を送りたくないだけというか」


 俺が慌てて弁解すると神崎さんは安堵したのかやんわりと微笑む。普段微笑まない神崎さんの表情に俺はつい見惚れてしまう。


「なら校内じゃなければ話し掛けても良い?」


 神崎さんは、はにかみながら俺に問い掛けてくる。


「……まあそれなら」


 俺は渋々ながら頷く。その様子を見た神崎さんは満面の笑みを浮かべ


「じゃあ改めて聞くけどこれから一緒に喫茶店に行けないかしら?」


 と言われた。俺は特に断る理由もないので首肯する。


「じゃあ決まりねっ」


 そうして神崎さんと喫茶店に行くことが決まったのである。

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