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不機嫌な一匹狼クール系少女

「よう、悟~」


 朝教室に入ると俺に気付いた太一がにこやかにでかい声で呼び掛けてくる。あ~、朝から暑苦しくてうるさい奴だな。


「おはよう」


 俺は太一に何気なく答えながら席に着く。


「どうだどうだ。悟は今幸せか~」


 ニヤニヤ顔で声高らかに絡んでくる。あ、これアレだわ。今コイツ絶対彼女との甘々な出来事を自慢する気だ。


「幸せかどうかで言うと幸せじゃない。後太一の話を聞く気もない」

「なっ、お前俺が何を言おうとしてるのか分かってるのかっ。さてはお前ニュータイプだな」

「馬鹿。何年付き合ってると思うんだ。お前の考えてる事なら大体想像が付く」


 俺が呆れながら言うと、神崎さんが教室に入ってくる。心なしか不機嫌そうに見えるのは気のせいだろうか。神崎さんが俺の居る方に目を向ける。当然俺も神崎さんに目が向く訳で当然二人の視線がかち合う。


「……むぅ」


 神崎さんは俺と目が合うとこちらに向かいながら頬をプクッと膨らませて可愛らしい声を立てながら俺の席まで来る。どうやら今の神崎さんはご立腹らしい。ただ何故ご立腹なのか見当が付かない。理由は俺らしいのは、なんとなく分かるのだが。


「おはよう神崎さん。なんかもの凄く機嫌悪そうだけど何かあったの?」

「何もしてないけど……何もなかったけどっ」


 悲しげな顔で叫ぶ神崎さん。目は潤んでいて今すぐにでも泣き出しそうだ。


「おい悟。何したんだよ?」

「いや俺に聞かれても困る」


 本当に訳が分からない。俺は脳内をフル活動させる。昨日有った事細かに思い出す。神崎さんの母親がやってる〈喫茶カントリー〉に言ったこと。帰り際に神崎さんとREIMUのIDを交換したこと。もしかしなくても、それなのでは?


「もしかして……昨日のREIMUの事?」

「REIMU?」


 俺の言葉を聞いた太一が不思議そうな顔をする。そしてすぐに得心顔になり神崎さんに


「神崎さん。こいつはガードも堅い上に細かな気遣いは出来ない奴だぜ~。ま、応援はするけどさ」


 と同情するように染み染みという。失礼な、俺は必要最低限の気は遣えるぞ。まあガードは堅い事は否定出来ないが。


「野呂君、本当良く幼い頃から友達付き合い出来たわね」

「まあぶっちゃけ、初めて会った時は無愛想な奴だなって思ったけど。こう見えて内面がめちゃくちゃ良いんだ。俺にとっては悟は一番の親友だな」

「……っ。確かに影野は性格も内面も良いのは分かるけど。影野は渡さないからっ」


 そう言って神崎さんが俺の手をギュッと握る。いきなりの事で俺は呆然とする。いや渡さないって俺はそもそも神崎さんの物でもないし誰の物でもないんだが。


「大丈夫、俺彼女出来たから。神崎さんの邪魔をする暇がないよ。寧ろ俺の彼女に相談とかしたら? 悟の好みとかだったら俺がある程度は説明できると思うしさ」

「それは心強いわねっ」


 嬉々とした顔で太一の手を取りガッシリ握りしめる神崎さん。


 おいおい、なに本人目の前にして俺の情報を流す交渉を成立させてんだよ。まあ今のところ実害は無さそうだから良いけど。実害が出たら即刻止めさせよう。


「私、野呂君とは良い関係を築けそうだわ」

「俺も悟の良いところを見てくれる人が増えて嬉しいよ。これから宜しく」


 そのやり取りが終わると神崎さんは満面の笑みで自分の席へとすたすた戻っていく。


「結局なんで神崎さんは怒ってたんだ?」

「お前さあ、昨日神崎さんとREIMU交換したんだろう?」

「ああ」

「その後お前神崎さんにREIMUしたのか?」


 うっ。言われてみれば確かに昨日REIMUの友達登録をしただけで俺から送っていない。


「でも送らなかった程度であんなに不機嫌になるのかねえ」


 俺がそう言うと太一はヤレヤレというように首を振る。


「あのなあ女の子ってのは繊細なんだよ。一緒にデートをした後とかにREIMUを送る。これが暗黙のルールなんだよ」

「暗黙のルールって……そもそも送る内容が全くないんだが」

「そんなの簡単だよ。今日はいろんな話を聞けて神崎さんの事をしれて嬉しかったです。また一緒に遊べたら……なんて思っちゃいました。とにかく今日は素敵な時間をありがとう御座いました。送りゃ良いんだよ。デートをしたらその日のうちに感想を述べてまた、次もデートをしましょうって匂わせるんだよ」


 俺は聞いただけで心底ウンザリした。そんな気のない女の子に向かってそんな小っ恥ずかしい文章を送らなくちゃならねえんだ。


「毎日送らなきゃならねえぞ。女の子はその日一緒に何かしたことに対して感想を述べないと女の子は不機嫌になっちまうからな」


 得意げに語る太一に対し俺は頭を抱える。毎日しなきゃ行けないのか~、それはまた面倒くさいことになるなあ。


「お、そろそろ授業が始まるな。席に戻るわ」


 太一はそう言って自分の席へと戻っていく。俺は後々の面倒くさいことを考えながら窓から見える景色を眺めるのだった。そして内心で一言愚痴る。


〈あ~面倒くさいなあ〉


 と。

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