4 交換はドキドキ
さっきの少し重い話から空気を切り替えるため、蒼は軽く口を開く。
「そういえば、ゴールデンウィークの予定、みんなどうするんだ?」
三郎が楽しげに顔をほころばせ、話を広げる。
「じゃあ、どこ行こうか?」
「遊園地とかはどう?」と凛が明るく提案する。
「カフェ巡りとかも楽しそうだな」と蒼。
「バーベキューもいいけど、五月だし天気次第か」三郎が続ける。
みんなで意見を出し合うが、結局はどこにするか決まらず、少し笑いながら膝を叩く。
「ま、決まらないなら、とりあえず連絡先交換しとこうぜ」と三郎がにやりと笑う。
「え、いいんですか?」と凛が少し驚きながらも頷く。
三郎はスマホを差し出し、凛の番号をさっと登録する。
蒼も少し緊張しながらスマホを取り、凛と番号を交換する。
蒼は胸の奥が少し熱くなるのを感じる。
――またこの子と話せる…
一方、凛は心臓が早鐘のように打ち、頬がほんのり赤くなる。
――あ、私…なんかドキドキしてる。蒼くんと…
小さな笑いと少しの照れくささが入り混じる中、三人の間に柔らかい空気が流れた。
凛は時計に目をやり、ふと気づく。
「あっ、次の講義始まっちゃう!」
慌てて立ち上がり、にこにこと二人に向かって言う。
「じゃあ、また連絡するね!」
蒼と三郎は少し驚きながらも笑顔で応じる。
「おう、楽しみにしてるよ」三郎が手を振る。
「よろしくね」と蒼も小さく返す。
その一歩一歩が歩き去る凛を見つめながら、蒼は気づくことはない――凛の言葉は表向きは二人に向けたものだったけれど、内心で一番意識していたのは自分だということを。
凛は少し頬を赤くしながら、学食を後にする。
その背中に、蒼は無意識に視線を追っていた。
――こうして、学食での穏やかで少しドキドキする時間は、そっと幕を閉じた。




