2 早いよ再会
蒼は教室を出て、昼下がりの学食へと足を運んだ。
木の机と椅子が並ぶ広い空間には、講義の合間を縫って学生たちの賑やかな声が響いている。
「おーい!蒼、こっち!」
声を聞き、蒼は振り返ると、三郎が笑顔で手を振っていた。
「三郎、お待たせ」
蒼は軽く手を挙げて応じ、空いている席に腰を下ろす。
「で、ゴールデンウィークの予定どうする?俺、全然決めてないんだよな」
三郎は大きく肩をすくめ、周囲の学生をちらりと見渡す。
蒼は少し考えて、肩越しに答える。
「俺は特に予定ないかな。まぁ、バイトくらいは入るかもしれないけど」
三郎は軽く溜息をつき、冗談っぽく呟く。
「彼女欲しいなぁ…せめて連休くらい、一緒に出かける相手欲しいわ」
蒼は苦笑しながら、フォークでサラダを混ぜる。
「お前もか…じゃあ、大学入って1ヶ月、可愛い子とかいた?」
その質問に、蒼の脳裏にふと一人の顔が浮かぶ。
――あの子か…新井凛。
「で、凛って子知ってる?」
三郎が突然、目を輝かせて切り出した。
「え?」
蒼は思わず聞き返す。
「新井凛ちゃんっていう子だよ。可愛いって評判なんだぜ、大学でも人気だし」
蒼は少し心がざわつき、軽く目を伏せながら考え込む。
――確かにあの笑顔、印象的だったな……
学食のざわめきの中で、三郎の話題が自然とゴールデンウィークや恋愛の話に絡み、蒼の意識は少しだけ凛のことに向かい始めていた。
蒼はフォークを置き、三郎に軽く笑いかける。
「しかし、お前の名前じゃ彼女できねーな、ホント」
「だって田中三郎だぜ(笑)」
三郎は思わず笑いながら頭をかく。
「うるせーよ!何で俺ばっかり名前いじられるんだ」
蒼は冗談めかして肩をすくめる。
「はは、まぁそうかもしれないけどさ」
そんなやり取りをしていると、ふと入り口の方で声が聞こえた。
「あれ?蒼くん…?」
二人の視線が一斉にそちらへ向く。
茶色のウルフカットが揺れ、にこやかな笑顔を浮かべた一人の女性――新井凛だった。




