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蒼色の恋に。  作者: ひろねる


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プロローグ 出会いの色


柏木 蒼 (かしわぎ あお)


新井あらい りん


井口愛菜 (いぐち まな)


岡本 太陽 (おかもと たいよう)


牧原 浩二 (まきはら こうじ)


糸井 哲夫 (いとい てつお)


キャンパスの緑が風に揺れる春の午後。

蒼はバックパックを肩にかけ、歩幅を合わせながら愛菜と太陽と一緒に校舎の間を歩いていた。


「…最近、ゴールデンウィークの予定決まった?」と愛菜がふと口を開く。

「俺は特に予定ないけど」と蒼は肩越しに軽く答える。

太陽は少し前を歩きながら、いつもの真面目な顔で口を挟む。

「蒼、お前、本当に何もしない気なのか?せっかくの連休なんだからさ」


蒼は微かに笑って首を振る。

「まぁ、ゴールデンウィークくらいゆっくりしたいってだけだ」


愛菜は少し含み笑いを浮かべながら、蒼の腕を軽くつかむ。

「そう言いつつ、結局バイトとか入れてそうじゃない?」


太陽が横目でちらっと蒼を見る。

「まぁ、蒼ならあり得るな。…でも、そこはちゃんと予定決めて、無理はするなよ」


蒼は心の中で少し安心しながら、二人の視線を感じつつ歩を進める。

大学の春風が彼らの間を吹き抜け、いつも通りの平和な午後の時間が流れていた。




夕方、大学からの帰り道、蒼はバイト先のコンビニに足を踏み入れた。制服に着替え、レジの前で準備をしていると、奥から牧原浩二がゆったりと現れる。


「おう、蒼。今日も頑張ってるな」

「おう、よろしくお願いします」と蒼は軽くうなずく。


「今日も忙しそうだな」と牧原は棚を整理しながら肩をすくめる。

「まあ、平日くらいは普通にね」と蒼。


そこへ、自動ドアが開き、茶色のウルフカットに整った髪を揺らす一人の女性が入ってきた。

「いらっしゃいませ」と店内に響く声に、蒼は一瞬目を留める。


――あ、新井凛だ。大学でも結構人気らしいって話で聞いたことがある。明るくて、誰にでも愛想がいいって…


「…いらっしゃいませ」と、思わず少し固まった口調で返す蒼。


凛はにこやかに笑い、商品棚へ向かう。

「あの…店員さん、大学生ですか?」



蒼は自然に応える。

「そうですよ」


凛はにっこり笑い、目を輝かせて言う。

「やっぱりー!年齢近そうだったから!」


少し間を置いて、興味津々に尋ねる。

「どこの大学ですか?」


蒼は少し照れながら答える。

「俺は…千葉京葉大学です」


凛の目がさらに輝く。

「えっ、そうなんですか!私も千葉京葉大学です!」


凛はにこにこしながら続ける。

「じゃあ、何年生ですか?」

「俺は1年です」と蒼。

「へー!私も1年です!」


一瞬、二人の間に小さな共通点ができたことで、空気が自然に柔らかくなる。


牧原が横からニヤリと笑う。

「おお、蒼、1年同士か。…これはちょっと距離縮まるかもな」


蒼は軽く肩をすくめ、照れながらも心の中で思う。

「…やっぱり話しやすそうだな、この子。大学で人気なのも納得だ」


糸井店長が奥から顔を出し、にこやかに声をかける。

「蒼くん、接客丁寧にな」


蒼は店長の声に少し気を引き締めつつも、凛との自然な会話に少し心が弾むのを感じていた。


凛は少し考えてから、にこにこしつつも声を弾ませる。

「そういえば…私は、新井凛です」


蒼の心の中で、一瞬ほんのり笑みがこぼれる。

――ああ、やっぱりこの子か。大学でも名前くらいは聞いたことあるんだよな。


「…よろしく、新井さん」と、蒼は少し照れながらも自然に返す。


凛はにっこり笑い、カゴを手にする。

「うん、よろしくお願いします!…あの、店員さんは?」


蒼も少し肩をすくめて、穏やかな笑みを浮かべる。

「俺は、柏木蒼です。よろしく」


凛は軽くお辞儀をして、明るく返す。

「よろしくお願いします、蒼くん!」


その瞬間、二人の間には少しだけ距離が縮まったような、柔らかい空気が流れる。

牧原が横でニヤリと笑い、少しからかうように言う。

「おお、名前交換か。…こりゃ、これから面白くなりそうだな」


蒼は少し照れながらも、心の奥でこの自然なやり取りに少し心が弾んでいるのを感じていた。



凛は少し考え込みながらも、軽く笑顔を見せる。

「そういえば、蒼くんって普段、大学のどの辺りにいるんですか?」


蒼は少し照れながら答える。

「俺は…主に図書館とか、カフェのあたりにいるかな」


凛は興味津々に目を輝かせる。

「へぇー、そうなんですね!…あ、あっ、ちょっと電話かかってきちゃったみたい」


凛はスマホを確認して、少し残念そうに笑う。

「ごめんなさい、そろそろ帰らなきゃ」


蒼は少し名残惜しそうに見つめる。

「そうか…また来てくれるのかな?」


凛は笑顔で頷き、商品を手にレジを離れる。

「大学で会ったら、よろしくね、蒼くん!」


その言葉を背に、蒼は少し心臓が跳ねるのを感じながら見送った。

――これが、俺と新井凛との初めての出会いだった。

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