表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
• 『社交界の華は、影に咲く毒。〜私を捨てた世界、すべてお返しいたします〜』  作者: ヨォコ
黄金の瞳の覚醒

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

7/34

報告への足跡

扉を閉めた瞬間、彼女の顔から「慈母」の影は消え、鉄の規律を守る「公爵家メイド長」の冷徹な横顔が戻ります。

深夜の廊下は、いつもなら寝静まっているはずでした。

しかし、今日ばかりは違います。

遠くの角を曲がったあたりで、主の息子であるアルベルトとジュリアンが、従者を問い詰めるような低く鋭い声が漏れ聞こえてきます。

「……あの方々も、今夜は眠れぬでしょうね」

マギーは小さく独りごちました。

あんな風に、なりふり構わず「子供」を抱えて帰還したヴィンセントの姿など、誰も見たことがないのです。

マギー自身の胸の内にも、まだ収まりきらない驚愕が渦巻いていました。

閣下が連れ帰ったあの子は、泥に汚れ、骨が浮き出るほど痩せ細り、挙句の果てには豪華なベッドを拒み、部屋の隅の暗がりに安らぎを見出す始末。

(あれほどまでに魂を削られた子を、閣下はどうされるおつもりか……)

マギーは手に持った「エレーナが着ていたボロ布」をぎゅっと握りしめました。

その布は冷たく、酷い悪臭を放っています。あの子がどれほど過酷な場所に捨てられていたか、その証拠品。これを主に見せたとき、この屋敷の主がどのような「決断」を下すのか。

マギーは重厚な執務室の扉の前で足を止めました。

中からは、ヴィンセントが苛立ちを抑えるように床を踏み鳴らす音が、微かに響いてきます。

(驚きは、私だけで十分。ここからは、ロゼレイドの「守護」としての仕事ですわ)

マギーは深く息を吐き、表情を完璧な無に整えると、一度だけ扉をノックしました。

「……閣下。マーガレットでございます。お嬢様……いえ、お連れしたお子様の件で、ご報告に参りました」

その声が、静まり返った執務室の中に、そして嵐を待つ屋敷全体に、静かに、けれど決定的な響きを持って伝わっていきました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ