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共闘の誓い

アルトリアは剣を下ろした。

完全に、だ。


アストラル・クロノスの刃が地面に触れると、周囲に張り詰めていた時間停止の結界が僅かに緩み、止まっていた炎がゆらりと揺れた。彼女は目を閉じ、深く――まるで何百年も呼吸をしていなかったかのように――息を吸い込んだ。


「――――『アッシュの里』」


その名を呟いた瞬間、彼女の瞳に浮かんでいた金色の歯車紋が消え、サファイアブルーの瞳がわずかに揺らいだ。感情の波紋。それは彼女が長い時を経て封じ込めてきたはずの「人間としての哀しみ」だった。

「……私は知っています。その里を。いえ、正確には――私がまだ『アルトリア・フォン・エルデンベルク』という名の人間だった頃、刻の守護者たちの末裔が辺境に隠れ住んでいることを、記録で読んだことを記憶しています。」


彼女は指でパチンと音を鳴らすとカインが苦しんでいた痛みがなくなった。そしてカインの方へと向き直り、剣を鞘に収めた。そして――驚くべきことに――片膝をついた。守護者が、人間に対して敬意を示す姿勢。


「カイン。あなたは『刻の銀盤』に選ばれた。それは偶然ではありません。聖遺物は、歴史を守る覚悟を持つ者にのみ呼応する……あなたの祖父は、最期の瞬間まで、その使命を全うされたのでしょう。……ですが、それだからと言って大規模な時空を歪ませるのは決して行ってはいけません。それが定めなのですし、あなたの祖父やお父様は、それを決して喜びません。」


カインは「お前に何がわかるんだ!」っと叫ぼうとしたが、彼女の声には、今度は明確な「痛み」が滲んでおり、その目や声にどこか親近感が湧いたのか、カインはその言葉を飲み込んだ。


「そして、『灰色の魔術師』――その存在が、ついに動き出したというわけですね。私は幾度となく、その者の痕跡を追いました。しかし、その存在は歴史の『外側』にいる。時計塔の記録にすら残らない、まるで世界そのものに拒絶されたかのような……いえ、世界を拒絶した者。」


アルトリアは立ち上がり、カインの目をまっすぐに見つめた。その瞳には、もはや敵意はない。代わりにあるのは――共感と、そして決意。


「あなたが過去を変えることは決してやってはいけない禁忌ですが、あなたが灰色の魔術師に対して行う復讐は、個人的な怨恨ではない。それは歴史を守るための戦い。ならば――私はあなたを剪定することはできません。いえ、してはならない」


彼女は右手をカインへと差し出した。


「協力しましょう、カイン。あなたの『刻の銀盤』と、私という『歴史の守護者』としての力。二つの時間の力を合わせれば、あの魔術師を――歴史の盲点に潜む異常を、この世界から消し去ることができるかもしれません」


そして、彼女は初めて――本当に初めて――微笑んだ。それは僅かな、ほんの数ミリメートルだけ口角が上がっただけの笑みだったが、その表情には確かに「人間らしさ」が宿っていた。


「ただし、一つだけ約束してください。もしあなたが復讐に囚われ、無関係な歴史を巻き込もうとするならば――その時こそ、私はあなたを止めます。それが、私の使命ですから」


その笑顔を見ながら、カインは自分がどうするかを、考えた。


復讐のために手を組むか、それとも拒絶してでも過去改変を目指すか。カインとしては過去改変をしてみんなを元に戻したいが、アルトリアに勝ち目はなく、灰色の魔術師に勝てるかどうかすら怪しい、だからと言ってアルトリアと手を組んだら今までの自分の苦労が水の泡になるかもしれない。カインはこの、どちらを選んでも心の底から喜べない二つの選択肢のどちらを選ぶのかを悩んだ。


キャラクター紹介③ 星霜を刻む守護者アルトリア

今作のヒロイン(?) であり歴史の守護者。元々は『アルトリア・フォン・エルデンベルク』という名前だった。ことは数千年前、今より魔導が栄えていた時代。アルトリアはある小国の第一王女であった。その国は予言された「大いなる破滅(刻の崩壊)」に直面しており、彼女は民を救うため、古の神々との契約を結んだ。

彼女が代償として差し出したのは、彼女自身の「未来」と「他者からの記憶」であった。契約が成された瞬間、世界は救われたが、国民は彼女のことを忘れ、彼女自身も時間の概念から外れた不老不死の存在へと変貌しのだった.....


映画のあらすじ風に言ったつもりだけどなんか変な感じだな。

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