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鉄錆の街と灰色の雪

二人は次元の狭間を抜け、鉄鎖同盟の領土へと足を踏み入れた。眼前に広がるのは、シュレージエン王国の白亜の城塞とは対照的な、灰色の工業都市群。巨大な煙突からは黒煙が立ち上り、空気には鉄と油の匂いが充満している。おそらく最近発見された石炭を使って鉄を溶かしたりしてるのだろう。


そんな環境でも人々の顔は明るい。そして人間だけでなく、獣人などの異民族も暮らしていた。


そんな場所で二人は飯屋に入っていた。アルトリアは何も食べなくても生きていけるが、カインは普通に餓死する。腹が減っては戦ができぬというわけでご飯を食べに来たのだ。


「そういえば、なんでエクセリオン様って様付けなのですか? 」


カインはずっと気になってた疑問を投げつける。アルトリアは目立たぬよう、銀の甲冑を薄い外套で覆い隠していた。しかし、その佇まいだけで周囲の人々は本能的に彼女を避けるように道を開けたりしていた。カインの問いかけに、彼女は静かに答えた。


「エクセリオン様、ですか――」


アルトリアは遠い目をして、記憶を手繰り寄せるように言葉を紡いだ。


「なんででしょうか.....分かりませんね。彼は私よりも遥かに古い時代から、シュレージエン王国を守り続けている存在です。私が守護者となる前、まだ『アルトリア・フォン・エルデンベルク』という名の王女だった頃……その頃に、おそらく彼に助けられたのでしょう。」


彼女の声には、珍しく個人的な感情が滲んでいた。


「ですが、その時見た彼の背中は、まるで太陽のように眩しかった。それだけは覚えています。そして、私はそれに救われました。」


アルトリアは再び歩き出し、小さく付け加えた。


「だから私は、彼を『様』と呼びます。恩人であり、騎士として尊敬する存在だから。……たとえ今回、敵対することになったとしても、その時の記憶を失っても、その敬意だけは変わりません。」


「そうなんですか.....」


カインはそれを聴きながら猫耳の獣人の女の子が持ってきてくれたオリオ・スープと呼ばれる前の時代にここを治めていた王家の王女が気に入ってたとされる腹持ちのいいスープを飲んでいた。肉や野菜を大量に煮込んで作ったそれは濃厚な味わいなそれをカインはフォークで具を刺して食べたりスープを飲む。


「お兄ちゃんすごい食べっぷりだね。はい、お水。」


そんな彼をみて看板娘だろうさっきオリオ・スープを持ってきてくれた少女がやってきて、水を渡した。カインは感謝しながらそれを飲む。


「なあ、聴きたいことがあるんだけど、灰色の魔術師って知ってるか?」


カインはいい機会だと思って聞いてみる。


「灰色の魔術師?うーん、聞いたことないなあ。魔法使いじゃなくて魔術師か。そもそもここは魔法より銃の配備とかを重要視してるし。でも私魔法は使えるんだよ。みてて!」


そう言い彼女は魔法陣を生成し、綺麗な花火をあげた。それは魔法で作ったものだからか、触れても熱くなかった。


そんなこんなあり二人は代金を支払い、お店を出た。まだ看板娘の子は手を振ってる。


「.....すごいですね。彼女。あの年齢であの魔力量なんて。」


アルトリアがつぶやいたことが気になり、カインは言葉を返す。


「そんなすごいことなんですか?」


「ええ。そもそも獣人というのは魔法を使うことが主にできない種族のはずです。その代わり素もスペックが高く、闘気の扱いも秀でてます。ですが彼女は、そんな常識を覆すように、魔力を持ち、そしてその量も桁違いでした。」


アルトリアは若干冷や汗をかく。


「おそらくあのまま魔法を使い続けたり十分な訓練をしていったら、私の魔力量もゆうに超え、歴史に名を連ねる偉人になるでしょう。まあ、体が耐えるとは思いませんけどね。今でも体が持つかどうかという魔力量なのに、それ以上を持つには私みたいに精霊になるか....それとも神になるかですかね。まあ、そんなことはないと思いますが。」


それを聴きながらカインはずるいなっと思ったが、そもそも自分も刻の銀盤に選ばれてる時点で嫉妬される側かと思い、すぐに頭の中からそれを振り払った。


そうして二人が街の中心部へと進むと、突如として周囲の空気が変わった。人々が一斉に動きを止め、空を見上げている。

そこには――灰色の雪が、降り始めていた。先程までの平和な雰囲気はもうなくなりつつある。


「灰色の雪!?そういえば、村にあいつがきた時にも、、、!」 


カインはあの時のように右腕がなくなる幻痛を感じながらも発した言葉が終わる前に、アルトリアの表情が一変した。彼女の瞳に金色の歯車紋が浮かび上がり、周囲の時間感覚が歪む。


「カイン、伏せて――!」


アルトリアが叫ぶと同時に、二人が立っていた場所から数メートル先の建物が、音もなく崩れ落ちた。いや、崩れたのではない。建物そのものが「灰」に変わり、風に溶けるように消失したのだ。


灰色の雪が降り注ぐ中、人々の悲鳴が響き渡る。触れた者から順に、その身体が灰色に染まり始めていた。時間を置かずして、街の一角が静寂に包まれる――生命の気配が、消えていく。


そして、その灰の中心に――一つの人影が立っていた。


ローブに身を包んだ、性別も年齢も不明な存在。顔は深いフードに隠され、ただその両手だけが見えている。その手は、まるで老人のように皺だらけでありながら、同時に生まれたばかりの赤子のように滑らかでもあった。時間の概念が歪んでいる――存在そのものが矛盾している。


カインはそいつを見て足がすくむ。だが、それと同時に怒りが込み上げてきた。


あいつが、あいつが俺たちの里を滅ぼした張本人....!


「灰色の魔術師!」


カインの怒声を聞き、ゆっくりとカインとアルトリアの方を向いた。声は、何千もの声が重なり合ったような、不協和音のような響き。


「――――ああ、また会ったね。星霜の守護者。そして……『刻の銀盤』を継いだ新しい愚か者。あの時せっかく見逃してあげたのに、また私の前に来るのか。本当に、実に愚かだ。」


アルトリアは即座にアストラル・クロノスを抜き放ち、カインを庇うように前に立った。彼女の声は、怒りと警戒に満ちている。


「灰色の魔術師……!」


そうして二人は、宿敵、灰色の魔術師と初めて面を合わせたのだった。

国紹介② 鉄鎖同盟

鉄の鎖で全ての民族を繋ぐという意味を込められた同盟団体。国と言われると実に怪しいが、まあ国でしょ。ローマの元老院あった時みたいな、ヴェネツィアとかそういう感じ。 多分。前ここを収めていた王家が色々と暴政を敷いててそれに反発した住民が革命を起こして王家を滅ぼして建国した。資源が豊かで、鉄資源や石炭、硫黄など色々とれる。ちなみにシュレージエン王国と戦争を始めた理由はシュレージエン王国のある貴族が収めていた領地で暴政を敷いてて、それから逃げたりした住人がたくさんいて、その人らの助けの声を聞いてそこの領地を落とし、自身の領地にしたけど、シュレージエン王国からしたら勝手に領土が奪われたというふうに見られ、そもそも暴政を行ってたことは届いており、その暴政を敷いてた貴族をとらえる軍を派遣してる最中の出来事であったため、なんでこちらの領地を勝手に奪ったと激怒。そうして戦争が始まるのだった..... ややこし。

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