消えた記憶と愛する人の嘘 90 「温かい職場と、新たな一歩」
佐藤課長が「せっかくだから、みんなに挨拶していけ」と言ってくれたので、俺は久しぶりに職場のみんなの前に顔を出した。
デスクに向かっていた同僚たちが俺の姿に気づき、次々と声をかけてくれる。
「おぉ、高木!大丈夫か?」
「無理すんなよ!」
「早く帰ってこいよ!」
そんな励ましの言葉が飛び交う中、俺は思わず笑みを浮かべた。
「みんな、ありがとう。正直、まだ使い物にならないけど……必ず戻ってくる。その時は、またよろしく頼む。」
そう伝えると、一斉に「待ってるぞ!」「早く帰ってこい!」と温かい声が返ってきた。
正直、嬉しかった。
記憶は戻らないままだが、この場所には俺を支えてくれる仲間がいる。それが今の俺にとって、どれだけ心強いことか。
一通り挨拶を済ませた後、エレベーターに乗り、12階からロビーへと降りた。
ロビーに着くと、ふとまいに連絡すると言っていたことを思い出す。
時計を見ると、思った以上に時間が経っていた。
(やべぇ、すっかり遅くなっちまったな。)
そう思いながら、スマホを取り出し、まいにLINEを送る。
【まい、今日会社に来てよかった。
結局、記憶は戻らなかったけど、職場のみんなの優しさを改めて……というか、初めて知った気がする。
それとね、後輩からすごい話を聞いた。
帰ったら報告するから、楽しみにしてて。
.…愛してる。】
送信ボタンを押すと、ふっと息をついた。
(さて、あとは純一だ。)
続けて、もう一通LINEを打つ。
【今、終わった。これから向かう。遅くなってすまん。】
送信を確認し、スマホをポケットにしまう。
(よし、まずは純一のところに急ぐか。)
気を引き締め、足早にロビーを後にした。
ごめんなさい
間違えてしまいました.




