消えた記憶と愛する人の嘘 30 「まいとのLINE、そして孤独感」
昼食を終え、窓の外をぼんやりと眺めながら時間を過ごしていた。
時計を見る。
—— もうすぐ、まいが来る時間だ。
そう思うと、自然と心が軽くなる。
昨日より今日の方が楽しみだ。
そんな風に思えることが 今の俺にとって、どれだけ救いになっているか。
—— ピロン♪
携帯が小さく振動した。
画面を開くと、まいからのLINEだった。
【AirPodsでいいよね?】
【ケースの色、何色がいい?】
【私とおそろのケースだからね!www】
いきなりのメッセージ。
しかも、まいらしく どこか強引で上からな口調。
「相変わらずだな……」
思わず笑ってしまう。
でも 不思議と楽しい。
何気ない会話のやり取り。
これが “俺たちの日常” だったのかもしれない。
返信を打つ。
【グリーンがあれば、それで頼む】
シンプルに送った後、しばらく画面を見つめる。
…… こうやって、俺はまいといつもLINEをしていたのだろうか?
どんな会話をして、どんなふうにふざけあって、
どんな言葉で、どんな気持ちを伝え合っていたのか——。
まいは覚えている。
でも、俺は 何も思い出せない。
スマホを持つ手が、じわりと冷たくなる。
胸の奥に、小さな “寂しさ” が広がっていくのがわかった。
俺たちは、どんな関係だったんだろう。
本当は、まいと笑い合うことすら、俺の記憶の中には存在していない。
「……思い出したいな」
呟くように言葉が漏れる。
昨日より、今日の方が まいのことが好きになっている。
でも、今の俺は “昔の俺” ではない。
それが、 どうしようもなく悔しかった。
この時間帯、投稿多数みたいで、アップロード時間がかかってごめんなさい