消えた記憶と愛する人の嘘 23 【変わる気持ち)
朝の俺は、ただひたすら不安だった。
何もかもがわからないまま、知らない病室で目覚め、知らない自分として生きるしかない。
まいが「恋人だ」と言っても、それを証明する記憶は俺の中になく、どこかで疑い、距離を感じていた。
——でも、今は違う。
まいが帰った後、静かな病室に1人でいるのに、さっきまでの孤独とはまるで違う。
むしろ、胸の奥がぽかぽかと温かい。
俺は確かに、まだ何も思い出せていない。
けれど、今の俺の中には、はっきりとした”確信”がある。
——まいが、俺の生きがいだと気づいた。
それは、大袈裟な表現なのかもしれない。
でも、今の俺には、本当に何もない。
過去も、これからの未来さえも。
そんな俺のそばにいてくれるまいは、俺にとって唯一の”希望”と変わった
何もかもを失った俺の世界の中で、ただ1つ、変わらずそこにいてくれる存在。
朝までは、“記憶がない自分”に怯えていた。
でも今は、“まいがいる”という事実に、安心している。
たとえ過去の記憶が戻らなくても——
俺は、まいと一緒にいたい。
そう思えたことが、何よりも嬉しかった。
また、よかったらしばらくの時間お付き合いよろしくお願いいたします。
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