消えた記憶と愛する人の嘘 16 【キスのあと、2人は静かに向き合った。】
だんだん2人の関係が徐々変わっていきます。
謙の今の心の安らぎは………
先ほどまで熱を帯びていた唇の感触が、まだほんのりと残っている。だが、まいは何事もなかったかのように微笑んだ。それにつられるように、俺も自然と口元を緩める。
言葉は交わさなかった。ただ、見つめ合うだけの時間が数秒流れた。
俺はゆっくりとベッドに戻る。ベッドの上に腰を落ち着けると、まいも自然な仕草でその隣に座った。先ほどの妖艶な雰囲気とは打って変わり、彼女の表情は穏やかで、どこか親しみのあるものに変わっている。
「これね、来る途中で買ってきたの」
そう言いながら、まいはコンビニの袋を取り出した。
「謙の好きそうなの、色々選んできたんだよ」
袋の中から次々とお菓子が出てくる。チョコレート、スナック菓子、コンビニスイーツ……。
俺はまだ記憶が戻っていないのに、まいが自分の好みを把握していることに少し驚いた。でも、それ以上に、何事もなかったかのようにおやつの説明を始める彼女の自然な振る舞いに、どこか安心感を覚える。
さっきまでの激しいキスの余韻が嘘のように、まいは無邪気な表情で、「これね、限定なんだよ」とか「こっちは新作」とか、楽しそうに話している。
俺はそんな彼女の姿を横目で見ながら、不思議な気持ちになった。
——俺たちは本当に恋人同士だったんだろうか?
まだ実感はない。それでも、こうして何気ない時間を共有していると、自然とそうなのかもしれないと思えてくる。
「ねえ、どれから食べる?」
まいが俺の顔を覗き込むように聞いてきた。
「そうだな……」
俺は少し考えたあと、袋の中を覗き込んだ。
新作いかがですか?
早くも私まいが気になり出しました。
また、よかったらしばらくの時間お付き合いよろしくお願いいたします。
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