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針葉樹の巨木が白い闇へと、深く沈み込むグラデーションから鳥たちの鳴き声が響いてくる。
そして左手の巨石を迂回する道の先で、雨霧に散乱する朝日が樹間を割って暗い森を照らす。
恐らく。上から見たなら森を薄く包むように霧が覆っているように見えることだろう。
つまりそれは、横方向からの散乱光源が弱く。真上からスポットライトを受けたような、劇的な陰影を投げかける新緑の舞台装置となる。
重なり合う葉は深いエメラルドグリーンを透過し、林床の影へと溶けていく。
雨は小降状態となったのだろう。開けた場所では傘を叩く雨音が小さく聞こえた。針葉樹の葉についた水滴が時間差で落ちるせいかもしれない。
――何事も無く進んでいる。
聞こえるのは鳥の声だけだ。
上り坂に露出する岩が多くなったように感じる。
雨に濡れて怪しく光る岩から斜めに生えた巨木の幹を潜ると。壮麗な神殿のような、蛇紋石の磨かれた壁が眼前に現れた。




