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光条を発する魔法の杖で森の奥を照らすが、数メートル先で深い闇が揺れるのみ。
チッチッ――チッチッ
長袖を一枚羽織り動いていれば寒さを感じない程度の気温。
いよいよ森の切れ目から白み始めた空が覗き、相変わらずの雨足が傘を叩く。アンナマリー姫と傘をさして並び、朝を告げる鳥たちの棲む森を無言で見つめ続ける。
湿った土の匂いが鼻につき何処からか鬼百合の花の匂いが漂ってきた。
やがて黒一色だった森が、深い紺碧色の輪郭を表していく。
浮かび上がる3つの傘。
――3 つの傘
「――!」
気付くとアンナマリー姫の向こうに3つ目の傘が並んでいた。彼女より低い位置に赤い傘が雨粒を弾く。
――私は恐る恐る覗き込む。
果たして、赤い傘とは巨大なキノコであった。
マイコニドだ。
こちらから手を出さない限り大人しい相手である。流石に死の山周辺は精霊たちが活発で落ち着く暇がない。
米糠にかぼすを掛けたような香が漂った――。




