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死の山に近づくにつれて、影達の姿が徐々に濃くなる。木々に擬態するトレントの樹影の向こうで、遺跡に残った蛍光石の光が雨霧に滲んだ。
――やがて、遺跡のアーチが白く闇に浮かび上がる。
悪魔となったアンナマリー姫を、このまま人間に戻すと恐らく無事では済まないだろう。
そこで死の山にいる冥王にアンナマリー姫の蘇生を頼むためにやってきたのだ。
彼は雨降りの日にしか会うことが出来ない。
なので、最悪なコンディションになるが、それはやむを得ないリスクだ。
長丁場だ。死の山での野営は命取りになるだろう。往復を考えて空が白み始める暁を待って出発する。
――現在 3:17――
恐らく 4:00前には白み始めることだろう。
ォォォォォォォォォ
ジャック・オ・ランタンが通り過ぎていく。基本的には大人しい野生の魔法生物だ。彼らの邪魔をしなければ襲われることも無いだろう。
夜のうちに霊道で結ばれた魔力ノードを巡る。そんな遊牧民のような生態を持っているのが彼等だ。
――道と並走する川の上流からは強力な緑の気配が降りてくる。
自然界を巡る根源的な力の源を、水を媒介として組み上げる魔力炉。
打ち捨てられ苔生した炉からは、木々と親和性の高い魔力が漏れ出し森を優しく包み込んでいる。
樹海に飲まれた遺跡は精霊や魔法生物達の棲家となっているのである。
――私は背負い袋からから飲み物を取り出すと唇を湿らせた。




