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墓碑  作者: ファイアフライ
第Ⅲ章:死の山への入山Ⅱ
18/22

16/5:34

 私たちは森の開けた場所でしばしの休憩を取った。

 

 その間、タイタスウーズの移動跡は少しも変化しているように見えない。

 非常に遅い移動速度なのだ。

 

 

 ——アイテムボックスから取り出した折り畳み椅子を設置。

 小降状態なので屋根までは要らないだろう。

 

 

 森の境界でキイチゴを少し見つけた。

 簡易魔導コンロで温めたお湯から煮だした紅茶にキイチゴを浮かべてみる。

 

 そして。ナッツと星ベリーを砂糖、水飴、蜂蜜で固め、空気を含ませるようによく練った携行食。

 所謂ヌガーで小腹を満たす。

 

 さっきアンナマリー姫はカエルを触ったので、石鹸でちゃんと手を洗ってもらう。もちろん私も洗う。

 

 

 常々、こまめな栄養補給がパフォーマンスを維持するコツなのではないか、と思っているが所詮経験則なのでほかにもっと適した方法論があるのかもしれない。

 なにもきちんと朝と昼、夜に規則的な食事を取る必要性などないのだ。

 昔は二食であったというし。

 

 

「足りませんわ!

 お腹減ったー!」

 

 

 ひな鳥のように食べ物をねだる姿が何とも愛おしい。

 美味しい物をいくらでもあげたくなってしまう。

 甘やかして子供をダメにする母親になる気がする。

 

 

 ガツンとお腹にたまるものが良いだろうか。腹持ちのいいもの——。

 

「待っててね。あーちゃん。

 ええと——何かあったかな……?」

 

 おむすびはもっと後で食べるつもりだったが、ここで食べてしまってもいいだろう。川魚の塩漬けを具にした物。梅干し。脂っこい具はベタベタが移るので持ってきてない。なにせ素手だ。

 

「おむすびでいい?」

「んー……いいですわ!」

 

 他には海苔塩ポテトチップスなども作ってきた。私は箸で食べる派だ。

 脂っこい具は持って行かないといったそばからナンだが、ポテだけは別なのだ。

 

 しかし油分を多く含む消化の悪いものは、アップダウンの激しい行程が予想される場面では体調を崩す原因になるかもしれない。

 自分で作ってきてナンだが、こういったものは下山が確定してからにしたい。

 途中で下痢に見舞われるなど悪夢だ。

 

 私は昔遭遇した出来事を思い出しぶるっと震えたのであった。

 

 ——ところで、これからアンナマリー姫を助けるために決死の覚悟で死の山へ登るにしては、お気楽すぎると思うだろうが、メンタルコントロールは大事だと思う。

 経験則だが、疲労の度合いが大きく変わる。

 私は魔術師だ。日常的に動く職業ではない。

 真剣だからこそ、こういったものが必要なのだと思うのだ。


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