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雨足が強くなって霧が深くなる。水の粒子が光を散乱し森の暗さが増した。
――ヒュ
視界の隅を掠める影。
「なんですのアレ!?」
アイレピシス――金魚のような姿をした雨の精霊。木の幹を縫うように空中を泳ぐ姿はまさに幽遠だ。
(まるで水槽の中にいるかのような――)
神秘的な光景を前に、私はぼんやりとそんな想像をしてしまった。
雨の森は様々な表情を見せてくれる。
「アイレピシス!?
初めて見ましたわ!」
無邪気に跳ねまわっている。アンナマリー姫は元気だ。
そんな私たちをよそに、アイレピシスはあっという間に霧の樹林へ消えていくのだった。




