19.手痛い出費
19.手痛い出費
コンビニから戻った日下部は無事に清算を済ませた。この後に必要なのは熱の湯での湯もみ踊り観覧料だけだ。その分も含めて余裕を持って引き出してきた。しかし、引き出してきた金は自分の金だ。この出費は痛いが、帰れば精算できる。旅行用に用意していたギフト券がまだ余っている。
清算は済ませたし、出発まではまだ時間がある。その間に今回の旅行に行けなかったメンバーへの土産を買うことにした。ところが、送付先の住所一覧が見つからない。そうこうしているうちに出発時間になった。
「土産は無しにしよう。予算もオーバーしていることだし」
そんなことを考えていると、浦田社長から声を掛けられた。
「竹山さんと須藤には土産を買ってやれよ」
「そうですね」
まあ、それくらいはいいか。この後の自由時間に湯畑付近の土産物屋で調達しよう。
出発前のロビーでメンバーの顔触れを確認していると岡本が声を掛けてきた。
「日下部さん、昨日の二次会はいくらかかったんですか?」
「ん、まあ、10万ちょいかな」
「えーっ! そんなに? いいんですか?」
「いいよ。かかったものはしょうがない。みんなが楽しく過ごせたんだから」
「それは悪いですよ。協力会のメンバーでいくらか出しますよ」
ということで、協力会のメンバーが一人5千円ずつ出してくれることになった。
この日の予定は前述の湯もみ踊りを観覧した後は各自自由行動になっている。昼食も各自取ってもらう。昨日配布した金で。考えてみればそれが無ければ何とかやり繰りできたかもしれない。でも、まあ、済んだことをどうこう言っても仕方がない。全員揃ったところでホテルの送迎バスに乗り込んだ。
雨は予想外だった。ホテルの送迎バスはバスセンターまでの予定だったのだけれど、ドライバーの好意で熱の湯の前まで乗せてくれた。
熱の湯ではクーポンがないので、チケットは現地購入となる。日下部は窓口に並ぶ列の最後尾についた。チケットを購入し、メンバーに配る。観覧するのは次の回のショー。しばし雨の中、開場待ちの列に並ぶ。
湯もみ踊りはいい位置で観覧することが出来た。
「みんなババアだな。ガイドブックの写真は若い子なのに」
ショーに出演している踊り子たちを見て井川が呟く。こんなところでも働き手の高齢化が進んでいるようだ。
「それは何年も前の写真なんじゃないですか? それにたまたまこの回の踊り子さんがベテランだっただけなのかもしれませんよ」
ショーが終わって外に出ると、雨はまだ降っていた。
「じゃあ、この後は自由行動で。12時50分にはバスターミナルに集まってくださいね」
ここで各々の目的に向かって分かれて行った。




