13.疑わしきは罰せず
13.疑わしきは罰せず
4人のコンパニオンは入れ代わり立ち代わりやって来てはお酌をして回る。
「君はヨーロッパ系の顔をしているね」
コンパニオンの一人に四宮が言う。
「え~! ヨーロッパって、グァテマラとか? いやだ~」
「いや全然違うよ」
とかく女性は地理には弱い。グァテマラといえばヨーロッパどころか南米の国。近いどころか全く地球の裏側だ。しかし、グァテマラという国名が出てくるのは逆にすごい。
「私、今日が初めてなんです。緊張でお腹が減っちゃって…」
「だったら、一人分余ってるから食べればいいよ」
古谷がドタキャンしたのでその分の料理が余っている。小暮がそれを食べればいいと勧めた。
「リーダーに食べちゃダメって言われているから」
「リーダーってどの子?」
「今、あそこでお酌をしている人です」
見ると彼女は4人の中でも一番若いのではないかという子だった。小暮は早速、その子を呼んで聞いてみたのだけれど、そういうルールだからダメなのだと突っぱねた。
「でも、飲むのは大丈夫ですから。お酒は進めてあげてください」
「そうなんだ。じゃあ、飲みな」
「ありがとうございます」
そう言うと、新人のその子は水割りのグラスを持って戻ってきた」
宴もたけなわとなったところで、いよいよ試験の成績発表。その前に日下部は宮城のところへ行き、例の疑惑を確認した。
「宮城さん、試験は本気で受けましたか?」
「もちろんですよ。全然分からなかったです」
本人がそう言うのだから、それはもう信じるしかない。疑わしきは罰せずだ。日下部は席に戻った。
「それではそろそろ試験の成績発表をします! 先ずは6位から」
試験では成績上位の5人に賞品が出る。なので、日下部は6位から発表する。6位以下の成績は次の通りだ。
6位 田辺。前回は同点の古谷にジャンケンで買って4位の賞品をゲットしたが今回は5位まであと2点と残念な結果だった。
7位 柿沢。前回14位からのジャンプアップ。しかし、賞品はない。
8位 井川。さすがに、ここでは賞品ゲットならず小休止か。
9位 穴井。まあ、彼にはこの辺りにいるのが落ち着きがいいのだろう。
10位 須崎。初参加なのでこんなものか。
11位 川島。解からないものに時間を使わない。ただ、あっさりし過ぎだ。
そして最下位の12位は前述の宮城。
「これで馬券の片方が確定しました。あとは1位が誰なのか! では、賞品が出る5位からいきます。第5位は…」




