11.確定
11.確定
採点は最初に答案用紙を提出した名取から。100点満点中80点。さすがだ。その後も次々に採点をしていく。
「なんだ? 誰だ、これは!」
採点していく中で、ほとんど白紙に近い答案用紙があった。それは初参加の宮城の答案だった。来る途中の新幹線の中ではしきりにプログラムに目を通しているようだっただけに意外だった。そして前回1位だった小暮の答案。
「うん、予定通り」
思わず声が漏れる。同時に胸を撫でおろした。小暮の点数は96点。1位は間違いないだろう。
旅行といえば恒例となっている馬券。当然、今回も実施している。前回と同じく試験の1位と最下位を当てる馬券だ。日下部は小暮から総流ししている。1位が小暮で決まりなら、あとは誰が最下位でも的中する。最下位予想が少ない者が入れば配当金は跳ね上がる。ちなみに今回の総投票金額は1万5千円。一口200円なので75口の投票があった計算だ。総取りならいい小遣いになる。
採点が終わる。小暮の1位が確定した。つまり、日下部は馬券が的中したことになる。あとは最下位が誰なのか確認して的中者が何人いるか…。
最下位は予想通り初参加の宮城だった。馬券が確定し、投票用紙を確認していく。的中させたのは日下部の他にも居た。井川だ。
「この人はこういうのをきっちり当てるんだよな」
そして、更にもう一人。
「マジか!」
それは最下位の宮城だった。自分から馬券を流している。そこである疑惑が日下部の頭をかすめた。馬券を取るためにわざと悪い点数を取ったのではないか。その真意は確認しなければならい。何はともあれ、馬券の的中者は3人。配当金は5千円になった。
ちなみに、最後まで粘って答案を出した柿沢は粘った甲斐もあり、前回の14位から7位に大躍進だった。
採点が終わった頃には日下部と同じ部屋のメンバー、四宮、岡本、名取も風呂から戻ってきていた。
「採点、終わったみたいですね。どうでした?」
四宮が尋ねてくる。自分の成績もそうだが、気になるのは馬券が当たったかどうかということだろう。
「それは後のお楽しみということで」
試験の成績と馬券的中者の発表はこの後の宴会で行われる。
 




