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空へ
僕はそれを聞いて怒りが頂点に達した。
僕にいきなり、みんなの倍はある立派な翼ができたことを妬んで、翼があることを認めないんだ。
この翼は偽りなんかじゃない。僕には大きな翼がはっきり見える。
翼があることを証明するために、僕は、塔の頂上に昇った。
身を乗り出して下を見ると、目も眩むほど高い。落ちたら絶対に死んでしまうだろう。
でも大丈夫。僕には翼がある、これなら落ちて死ぬことなんてあるはずがない。
塔の途中の階や地上に、ちょっとした人だかりができている。その中の数人、僕に翼があることを認めない奴等が、飛び降りを止めろと叫んでいる。
そんなことを言っても無駄だよ。僕はこの立派な翼をみんなに見せるために飛び立つのだから。
そして呼吸を整え、勢いよく塔の屋根から飛び出した。
どうしてだろう――。僕は空の上で無く、地面の上にいる……。
……周囲から悲鳴が…聞こえてくる………。
――おしまい