札の正体(?)、お姉ちゃんの応援
ようやくの更新再開です。
残りは、毎日投稿いたします。全部で6話か7話ほどの予定。
そして、これより前の部分をすでに読了済の方へ……主人公・優那の苗字が“左塔”に、カイの苗字が“藤佐和”に変更しております。ややこしくてすみません。
うれしいことに今世でも前と同じような聖女体質だったようで、わたしのケガは1日でふさがり、3日でキズ痕も薄くなりました。
「すごい。あんなに酷かったのに」
お姉ちゃんがビックリしてます。
んふふ、聖女はいろいろと大変ですが、便利なところもあるんです!
「そっかぁ、だから優那、小さい頃あんなに転んでたのに、ケガが少なかったんだ」
「え?」
「小学校2、3年生くらいまで、優那、よくコケてたじゃん」
「そ、そんなことないと思う」
「ううん。よくコケてたよ~。でも、全然ヒザが擦りむけたりしないから、転びかたが上手なのかな?ってお母さんとよく話してたんだよ」
つまりわたしは、ケガしにくい体質じゃなかったら、子供の頃は常に血まみれだったってことでしょうか?
ううう、そんなに運動神経、悪かったかなぁ。
さて、お姉ちゃんと翔梧くんにバレてしまいましたが、かえって良かったかも知れません。
お姉ちゃんも翔梧くんも、わたしたちに協力してくれるそうです。
わたしのケガが治ってから、お姉ちゃんと翔梧くんもカイの事務所に来て、作戦会議です。
「神社に犬の首なんか、あったの?!」
「つまり、誰かが人為的にその瘴気を発生させたってことか?」
「じんいてき……?」
「……故意に───あー、自然に出てきたんじゃなく、わざと瘴気が出るようしたってこと」
「なるほど!」
でも、わざと瘴気を発生させるなんて出来るのかしら?前世では勝手にあっちこっちからわき出てくるものだったから、想像がつかない。
ていうか、そんなことをして意味あるのかなぁ?瘴気によるお得なことってなんだろう。
「札みたいなのがあったんなら、わざわざ発生させたって考えて正解でしょ。どんな札だったか、覚えてる?」
「え?えーと……犬の首にビックリして、あんまり覚えてない……」
「写真を撮っています」
カイが横からスマホを出しました。
「え!写真撮ってたの?!」
「あとで調べようと思いまして」
カイ、エライ!すっごい瘴気だったし、魔物もいたし、浄化し終えたらわたしは気が抜けちゃってそんなこと考えもしなかった。
そういえばカイは犬の首を埋めたり、後始末もしてくれたんだっけ。
「写真、見せて?」
お姉ちゃんが手を出しました。カイは渋い顔です。
「あまり気持ちよいものではないのですが……」
「三人寄れば文殊の智恵って言うだろ。俺達も一緒に考えた方が早く解答に近付くかも知れないじゃんか」
翔梧くんまでそう言い出し、カイは溜め息をついてスマホのフォルダを開きました。
画像が表示され、わたしは少し離れます。そして、薄目でそれを見ました。
だって……あんまりしっかり見たい写真じゃないんですもん。でも、お姉ちゃんも翔梧くんもがっつり見ています。怖くないのかしら。
「うわあ、まだ子犬じゃん。ひっどー」
「柴か……。かわいそうに」
「ん~、この札の模様って陰陽師?陰陽道?なんかそういうので使われるやつじゃない?」
「あー……確かに!霊符ってやつかな」
んん?陰陽師?レイフ??
カイも目をパチパチさせました。
お姉ちゃんも翔梧くんも───妙なことを知っていますね?
とにかく詳しく調べてみるからと、お姉ちゃんも翔梧くんも、カイから画像をもらいました。何か分かるといいんですけど。
夜。
お姉ちゃんがわたしの部屋に来ました。
「ね、優那。優那って前世で藤佐和さんと恋人だったの?」
「えっ!」
「違うよねー。藤佐和さん、なんかそんな接し方じゃないし」
がーーーん。
聞いておいて、そんなあっさり否定しなくても……。
わたしがショックでがっくりしたら、お姉ちゃんは肩をポンポンとしてくれました。
「まあでも、優那が藤佐和さん好きな理由が分かって安心した。助けてもらったからって、それだけで好きになるものかなあ?って思ってたから。前世から、好きだったんだ?」
「……カイ、カッコいいじゃないですか」
「そうかぁ……優那がマッチョ好きとは知らなかったなー……」
いえ、マッチョ好きじゃないですぅ。たまたまカイがマッチョなだけ……。あと、カイは細マッチョですからね?
お姉ちゃんはわたしのクッションを抱え込んで、首を傾げました。
「前世でもカイさん、マッチョ?」
「んんー、わりと細身だったかも?鍛えても、あまり筋肉がつかないってボヤいてたような」
「ふうん。見た目は、優那もカイさんも今と全然違うんだよね?」
「うん。カイは濃い紺色の髪で、灰色の瞳をしてて……ああ、お姉ちゃんが好きなダンスユニットのリョータくんに似てる感じ」
「やっだ、好み!」
よ、良かった。今世はお姉ちゃんの好みじゃなくて。
「ずっと守ってくれてたの?」
「うん。15才のときから……わたしが死ぬ1年前に命を落としちゃったから、7年、かな?命だけじゃなく、苦しかったり辛かったりしたときも、わたしの心を守って、支えてくれていたの。カイはそういう気はなかったかも知れないけど」
7年かぁ。
長いようで、今、思い返せばあっという間な気もする。
……そういえば、カイは今世でそれよりも長い時間、わたしをずっと探してくれたんですよね。長かっただろうなぁ。
「じゃあ、優那の前世は23才ってことになるのかな?えーと、今の分を足したら……38!?うわ、オバさんじゃん!」
「!!!」
お、お姉ちゃん!ひ、ひどい……!
「でもどうしてだろなー、優那は年上って気がしない」
「そ、それはお姉ちゃんが今までわたしを妹として見てきたからであって、ちょっと外側から見れば、ちゃんと年上な部分はあると思います!」
「そう?」
「た、たぶん……」
うう、自信を持って言えないのが悲しい。
でも、前世はひたすら聖女の役目を果たすだけで、神殿と瘴気に冒された辺境の森とか山しか知らないから、人生経験豊富とはとても言えないんですよね、わたし……。
お姉ちゃん、今度はわたしの頭をぽんぽんしてくれました。
「どっちにしろ、優那は私の大事な妹には変わりないから。……うん、とにかく分かった。優那にとって、カイさんがどれだけ大切な人だったか。だからこれからは、優那を応援する」
ホント?!やったぁ、耶麻田さんたちだけじゃなく、もう一人、心強い味方ができちゃった!
うれしい!
「カイさんも優那のために生きてるって感じだから、優那のこと好きそうだけど……実際、どうなんだろ?でもさー、優那が好きだからいいけどさー……普通に考えたら、生まれ変わっても優那に会おうとずっと探してたってゲキ重じゃない?」
ええ?!わたしはすっっっごく感動したのに、お姉ちゃんはそうじゃないの?




