5話、やっぱり…
ギャクシーンが無いとつまらなくなるから少し挑戦
教室に入るのは気が重い。
アルの方はルンルンで教室に入っていったけど。
『師匠、おはようございます』
アルに向かって男子全員が挨拶している。
それにしても、「師匠」ってどういう意味だ?
周りの会話や雰囲気から感じるに、
昨日僕が自己紹介で失敗して落ち込んでる間に、何かあったらしい。
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「俺の名はアレック。レックでもアルでも好きに呼んでくれ。だがその前にお前ら男子に一つ言いたいことがある。
このヘタレ!」
「ふざけんなよ。」
「何がヘタレだ!」
かなりのブーイングが出た。そんな事はお構い無しに
「見とけよ。俺は、シレーナさんが好きだ
男子諸君宣戦布告だ。」
レーナは顔色変えるどころかアルを見向きもしなかった。その後、数人が気まずそうに自己紹介してレーナの番になった。
「私はシレーナ。レーナって呼んでくれると…
あと私は、アレックあなたの事が嫌いです」
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アルがレーナに自己紹介告白をした。意味が分からないっていうより前代未聞だ。挙げ句の果てに、振られてるけど。
そういえば、あの二人はバディだったはずだけど…
なんとなく予想はある。どうせアルが
「俺とバディを組んでくれ頼む」
しつこく誘っていて、誰も近寄れなかったんだ。そしてしょうがなく組んでるはずだ。
かわいそうに…
そんな事を思いつつ教室に入った。
僕が入った瞬間クラスの雰囲気が暗くなり、男子の方から、
「許さん、どうして、あいつだけは…」
憎悪の声が大量に聞こえてくる。僕がクラスに馴染むにはまだまだ時間が掛かりそうだ。
チャイムがなった。最初の授業は魔術適性検査だ。
魔術適性検査それは、言葉の通りなんの魔術に適正があるかわかる検査だ。
この学校では、魔術が使えるのは当たり前だったが最近では、魔術を使えない人も入学できるように変わったらしい。変わったと言っても魔術が使えなければ落ちこぼれ確定だ。
分かってはいた、分かってはいたが少しは期待していた…適正がなかった。
入学ルールが変わって初の適正無しらしい。
珍しいのか、僕の名前は一瞬で学園に広まった。『無剣の使い手』として。
ミラの方は僕とは逆でこの学校始まって以来の天才だったらしい。
検査が終わり訓練場に向かう廊下でアル、レーナに出会った。
「やぁマイフレンド」
手を挙げて、アルが僕に話しかけてくる。足を止めて、視線を移す。
「それにしても無剣だっ」
僕に向かってアルが何か言おうとしてたが、視界から消えた。
え?何が起こったの。
「ぐべぇ」
情けない声が下から聞こえた。
目線を落とすとなぜアルが消えたのかわかった。
アルがうつ伏せで倒れてるからだ。原因は探すまでもない。
レーナの足が突き刺さっていた、アルの後頭部に。
がばっとアルの顔が上がった。
「酷いよマイハニー!」
マイハニーが気に入らなかったのか、レーナの額に青筋が浮かび容赦なく頭に蹴り叩き込まれる。アル
目にも止まらぬ速さで壁に激突してめり込んだ。
「さぁ、行きましょう」
冷たい声だった。
「ひっ!」
背筋をゾクリとさせる声に思わず短い悲鳴をあげた。
「ア、アルは…」
恐る恐る尋ねるとレーナはニコリと笑った。笑ったけど心が少しも笑っていなかった。
「あんな男知りません」
結局、二人で訓練場に行くことになった。
さらば、アル。