1話
『精霊』
めっちゃ憧れる
『絶剣の使い手』
僕は子供の頃にそう呼ばれていた。
僕の剣の届く範囲は絶対領域と呼ばれていてその領域内ならどんな攻撃も通じない事からそう呼ばれていた。
僕の剣の強さは、剣聖にも後れを取らないほどだった。僕はこのまま、剣の腕を上げて、国の騎士団長を目指すつもりだった。
ミッドガルド王国の貴族、デューク家のたぶん六男として生まれた。
曖昧?貴族なんてそんなもんだ。自分に何人兄弟がいるか分からないが僕が一番下って言う事は理解した。
一番下だからって関係ない。
この時代では名誉、金、話術などは必要ない。必要なのは『力』。
そのため兄弟の中で一番強い僕がこの家の跡継ぎとして期待されていた。期待されるのは疲れるがこんな毎日が続くことだと思っていた。
そんな事はなかった。
僕は『魔法』という存在を知った。
それと僕の家は代々優秀な魔術師、魔道騎士を排出していると言う事も知った。
まさか、自分が魔法を使えないとは思ってもいなかった。しかし幾ら練習しても使えない。
最初のうちは何も問題はなかった。
兄達は、魔法を使った上で僕に負けていた。
1年、2年と経つ事に僕と兄達との差は埋まっていった
3年目、僕は初めて兄達に負けた。負けた日から時間が経てば立つ程実力差が出来た。
今までは、僕の方が兄より強かったから魔法が使えなくてもなんの問題も無かった。しかし今は違う。
剣しか使えない落ちこぼれになった。
『絶剣の使い手』
その名は掠れていった。
いつの間にか僕は周りの目ばっかり気にしていた。
「この無能」、「落ちこぼれ」、
そう影で言われてる気がした。
兄達だけではなくメイドにもバカにされている気がして、僕は訓練だけではなく、屋敷でほとんど人前に姿を出さなくなった。
それでも、強くなるために近くの森の人目の付かないところで練習した。
父さんは、良くも悪くも僕には何も言わなかった。
いつもと同じ様に朝早くから森に入った。
入った瞬間気が付いた。森の奥で人が、獣に襲われていると。少しはしったとこに人影を見つけた。遠くからでは分からなかったが、少女が襲われていた。
「面倒くさいな。狼は全部で6頭」
そう呟いて少女と狼の間に割り込んだ。
兄弟に負けたからって昔『絶剣の使い手』と呼ばれていた人間が狼なんかに負けるわけもなく一方的な攻撃になった。狼が全部倒れたことを確認すると、少女は力が抜けたように倒れた。地面に頭を撃つ前に抱きかかえた。
髪は金髪で三つ編みされていてその髪は腰のあたりまであり、整った顔にサファイアのように透き通った青色の瞳をしていた。とにかく可愛かった。後身長は僕と同じ位だから少女のはずだが…大きかった。どことは言わないけど。
「どうしよう。このまま置いていくのもな…」
結局屋敷に連れていくことにした。
今から父さんと話をしてこなければいけない。僕が人前に姿を出さなくなる前から話していないからな…考えてる内に少女を僕のベットに寝かせて父さんがいる書斎に来た。
父さんに今日あったことを伝えた。父さんは僕と喋りたくないのか、うんともすんとも言わずに、用件だけ喋りだした。
「もし、その少女の身分が分からなかった場合、一応奴隷身分になる。その奴隷の所持者はお前だ。後、その子がこの家に住むのであれば、働かせろ。それだけだ」
ここの屋敷で働いているメイドはほとんどが奴隷だ。奴隷って言っても悪い仕打ちをされたりするわけではない。ここの屋敷の場合は、衣食住付の一生雇用みたいな物だ。
働かせろって言われても…
何も思い付かないからメイドでもやらせればいいか。
自分の部屋に戻ると少女が起きていた。
「貴方は誰?後ここはどこ?」
目が覚めたばかりのはずなのに冷静だ。
「僕はラル。ここは、ミッドガルド王国って言う場所のデューク家の屋敷だよ」
聞かれた事を答えたが相手の頭の上には
『?』が浮かんでいた。三第貴族の名前を知らないってことは…
「君は自分が誰で何をしていたのか覚えている?」
少女は少し考える動作をして答えた。
「私はミラ。それ以外は何も思い出せない…
あ、狼に襲われていて誰かに助けられた気がする」
知ってる助けたの僕だもん。
「君を助けたのは僕。記憶がないのなら…
この屋敷で働く?
働いたら衣食住は、守られるだって」
「あ…ぁ、働くので見捨てないで下さい」
今にも泣き出しそうな感じでお願いされた。
それとだいぶお腹が空いているようなので、
僕が人前に姿を見せなくなった後も唯一見せているメイドに朝ご飯二人分とミラの教育を頼んだ。二人分?僕だって朝、人助けしてお腹が空いてるの!
主人公の名前はラルです。
ラルは少し勘違いなどしやすいです。
ミラは、助けられた性なのかラルLOVEです。