謎の少女
二話目投稿しました。
「新世界」52層の市街地の一角にはトッププレイヤーの中で人気の酒場がある。
この世界では掲示板という機能があるが、情報の質が悪くあまり彼らは使わない。
そんな中、開店したこの店は「酒と情報の質がいい店」という張り出しで注目を集めた。しかもこの店が取り扱う情報は高難度クエストや高ランクモンスターの情報ばかりなので、彼らはこぞってここに集まる。
「よう、ディオン。今日もいつもの席空いてるぞ」
「ああ、ありがとうジャック」
俺の日課の一つにマスターのジャックから情報を仕入れることがある。この情報から今日のやることを決めている。今日もいつものように情報を交換していたが、ふとジャックがこんな話をしてきた。
「ディオンに一つ相談があるんだ。お前にある人に会ってもらいたい」
「ある人?」
「ああ、強いやつを探してるらしい」
「俺でいいのか?」
「前Aランクの奴を紹介したけどダメだった。あとはお前しかいない。何とか引き受けてくれないか?」
困ったな。俺はなるべく人と関わりたくないと思い毎日を過ごしている。
何とかして断れないだろうか。そう思ってると不意に声がした。
「ちょっとジャックさん。いつまで待たせるんですか」
少し怒ったような声色で訴えたのは銀髪が特徴的な少女だった。
「ま、待ってくれ嬢ちゃん。今交渉してっから」
「そういって前交渉してたAランクの彼、全然ダメでしたけど」
ふむ、この銀髪少女が強いやつを探してるやつか。
おいジャックそんな目で見られても無理なものは無理だ。そんな時少女の目がこちらを向いた。
「お兄さんですよね、今交渉されてたのって」
「イヤ、ボクジャナイヨ」
「お兄さんですね。よかった~引き受けてくれそうで」
「そんなこと言ってないよな」
「お願いですよ。報酬も弾みますので、ね?」
くっ、こいつ俺が銀髪少女の上目遣いに弱いことを知っているのか。
「わかった、だが一つ条件がある。俺とお前と二人で一回クエストに行ってから決めさせてくれ」
「いいでしょう。私結構強いので」
なんか失敗もしなさそうだ。まあ一回行って適当な理由で断っとくか。よしそういうことで。
「どのクエスト行くかはお前が決めていいぞ」
どうせCランクぐらいだろ、それぐらいならたやすい。
「わかりました。ジャックさん、今一番強いモンスターがいるクエストはどこですか?」
こいつ、無理してるな。言ってやれジャック、そこら辺のスライムの名をな。
「ああ、今はそんなに強いモンスターはいないが、ジャイアントゴーレム(レッドアイ)なんてどうだ?」
馬鹿野郎ジャックっ、ジャゴレのレッドアイはA+級だぞ。俺はともかくこいつ死ぬぞ。
「おいジャック、冗談はよせよ。A+だぞ?さすがに無理だろ」
「おや?あなた怖気づいてきましたか?そんなんで大丈夫ですか?」
このガキぃ、くっそ腹立つな。
「ディオン、こいつめっちゃ強いんだよ。マジで俺もビビったから」
「お、お前ランクは?」
「A+ですけど」
むっちゃ強いやん。
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