たまには幼馴染に癒される
【登場人物のおさらい】
藤嶋慎吾:主人公。神女優と呼ばれる幼馴染の彼女がいるとんでもないリア充
藤堂更紗:藤嶋紗良の芸名で女優をしている慎吾の幼馴染で彼女。神女優と呼ばれるほどの凄い女優さん
藤嶋優:慎吾の一つ年下の妹。めでたいことがあると赤飯を炊く
【これは俺がサラとつきあい始めた後、高2のときのお話】
「は~、ただいま~」
「お兄ちゃん、おかえり~」
妹である藤嶋優が俺より先に家に帰っていたらしくリビングで既にくつろいでいた。
「おかえり~」
リビングから聞こえてきた声は一つではなかった。
優だけじゃなく、俺の彼女であるサラもいた。
サラは俺だけじゃなく優とも直接連絡を取り合っているらしく、時折優と一緒に遊ぶこともある。
今日は俺とではなく優と会うために家に来ていた様だ。
気が早いと言われるかもしれないが嫁と小姑の仲が良いことはいいことだと思う。
「んっ? お兄ちゃん、何か元気ないね」
「えっ、あー、やっぱわかるか?」
そう、今俺は大変落ち込んでいた。
今日は定期テストの答案が返ってきたんだが、正直芳しくなかった。
「お兄ちゃんのテストの結果がイマイチなのはいつものことなんじゃない?」
「うっ、だけど今回はそういうレベルじゃなかったんだよ……」
今回のテスト。
試験修了直前に選択問題の回答欄への記載が一つずつズレていたことが判明。
急いで書き直そうとしたんだが時間オーバーで結局全てを修正することができなかった。
「あー、それは……」
やっちまったなぁ~という渋い顔の優。
優もその失敗の大きさがわかるのかさすがにリアクションがとれないようだ。
「まあ、何とか赤点だけは回避できたけどな」
記述式問題はいつもより正答率が高かった。
ホント、それだけは不幸中の幸いだった。
「確か今回は大丈夫そうとか言ってなかった? 水無月くんに教えてもらったんでしょ?」
「そうなんだよな~、このミスがなかったらいつもより一段逆に良かったはずなんだ」
サラの言う通り、今回はテスト前に友達でクラスメイトの水無月啓一に勉強を教えてもらった。
こいつは俺たちのグループの中でもちょっとというか頭一つ二つ抜きに出て勉強ができる。
俺たちは文系クラスなんだが啓一は数学もほぼ満点だったりする。
何で理系に行かないんだ? って聞いたら「興味がないから」というような奴だ。
「水無月先輩何か言ってなかった?」
「苦笑いして『次頑張れ』って言われた……」
「だよね~」
優がそういって同じように苦笑いした。
まあ、入試本番で同じミスをしないようにというのが一番だ。
そう、これが入試本番じゃなくて本当に良かった!
一度した大ポカはもう懲りて二度としないようにと気を付けることができるのでここはプラス思考で……
プラス……
「はぁ~~~」
そうは思っても出るのはため息ばかり也。
「う~ん、お兄ちゃん……これは重症だな~。そうだ、紗良ちゃんに励ましてもらったら?」
「サラに?」
俺だけでなく、優もサラに視線を向ける。
「えっ、何?」
「いや~、サラを励ますことはあってもサラに励まされるとか?」
「ちょっ、ちょっと待ってよ! 私、慎ちゃんの彼女だよ? 嫁だよ? 伴侶だよ?」
いや、まだ嫁でも伴侶でもないけどな。
「じゃあ、紗良ちゃん。お兄ちゃんを励ましてあげて。あと、よろしく~」
そう言って優は自分の部屋へ一人戻っていった。
「…………」
「…………」
リビングに残された俺たち二人。
無言でお互い向かい合う。
「……ねえ、どうしたらいい?」
サラがためらいがちに聞いてきた。
「う~ん、定番と言えば膝枕、とか?」
「そっ、そうだね。定番だよね」
今日のサラは白色のブラウスにベージュのチノパンというオーソドックスかつカジュアルな装いだ。
「じゃっ、じゃあどーぞ」
サラはリビングに敷かれたカーペットに正座するとポンポンと自分の太ももを2度叩いた。
サラが履いているチノパンはぴっちりと身体にフィットしたタイプでサラの細く引き締まった太ももの肉感までわかる。
「失礼します……」
俺は恐る恐るサラの太ももに頭を乗せた。
引き締まっているとはいえ、女の子の太ももだ。
(やわらか~い)
まず出て来た感想がそれだった。
普通の枕とは違ってあとほんのりとサラの体温を感じる。
「どっ、どう?」
サラが俺の顔を覗き込みためらいがちに聞いてきた。
間近から愛しい彼女の顔を眺める。
(あー、やっぱり俺の彼女は美人だし、かわいいな~)
「ねぇ、どうなの?」
「あー、いいよ。すごくいい」
ダメだ。
他に言葉が出ない。
語彙が貧弱になる。
頭がバカになる。
「顔が緩んでる。悪くはないんだろうなーとは思ったけどやっぱり思っていることは言葉にしてくれると嬉しいな」
「うっ、分かった。善処するよ」
「うんっ、よろしいっ!」
サラはそういって俺の頭を撫で始めた。
「よしよしっ、慎ちゃんはいい子だね。頑張ったね」
そう言われながら撫でられると思いのほか心の中が満たされる感じがする。
いつもは俺がサラにしていることなんだけど、あー、なんかいいなー。
「ふふっ、慎ちゃん、そんな顔もするんだ?」
「ん~、どんな?」
「ふにゃふにゃ? そう、酔っぱらったネコちゃんみたいな? そんな動画を見たことがあるよ」
「ふ~ん」
あー、瞼が重くなる。
「眠い? 少し寝る?」
サラはそう言いながらも俺の頭を撫で続ける。
「いや……だいじょう……ぶ」
「…………」
「ぐ~」
「ふふっ、おやすみっ、慎ちゃん」
朦朧とする意識の中で何かが唇に触れたような気がしたがそれがなんなのかは分からなかった。
【お知らせ】
本作と本作の関連作品である「田舎に住む年下幼馴染♀に婚約者ができたらしい」とのクロスオーバー作品を始めました。
タイトル「幼馴染たちの協奏曲~続・後日談」
https://ncode.syosetu.com/n4727hd/
形の上では別作品になりますがあくまでも本作の後日談の一部です。
ポイント評価欄の下にリンクを張って飛びやすくしました。
興味のある方は読んでみて下さい。
当該作品はあくまでも既存2作品の続き(後日談)ですので「検索除外設定」という特殊な設定で投稿しています。
聞きなれない設定だとは思いますが平たくご説明しますと、上記のアドレスから直にしか飛べないと思っていただければ間違いないと思います。
シークレットモードとでも言った方が分かりやすいかもしれません。
本当? と思わる方はいろいろと試してみて下さい。
小説家になろう内のあらゆる検索に引っ掛からないはずです(ランキングにも載りません)。
作者のマイページの作品一覧にも載りません。
中身は本作の続きものですのでタグやまともなあらすじも書いていません。
今後、当面の間、現実恋愛ジャンルの作品は基本的に上記作品のあらすじ内において告知し新規投稿作品については一般投稿はせずに検索除外設定で投稿する予定です。