婚約するにはまだ早い?
【これは俺がサラと付き合い初めて約2年後、俺が大学1年生の夏のお話】
――♪~
「おっ、メッセージだ」
スマホを開くと高校時代のクラスメイトで友人の水無月啓一からだった。
『犯罪なのはお前も一緒だ。俺はせいぜい執行猶予。お前の場合は一発実刑だ!』
そのメッセージの内容を見て思わず苦笑した。
「誰? ひょっとして女の子じゃないでしょうーね?」
夏休みということもあってうちに入り浸っているサラの目が細くなる。
時刻はもう夜。
サラは今日もお泊りだ。
「いや、啓一だよ。啓一」
「啓一って水無月くんだっけ? 久しぶりじゃない?」
サラは俺の交友関係に詳しい。
というか俺よりも個人の情報をよく覚えていたりする。
サラとのことは家族とごく親しい、いわゆる親友と呼べる奴だけには話をしてある。恥ずかしくて口には出さないがこいつらは秘密を墓場まで持って行ってくれると信用できる奴らだ。
「で、何だって?」
「俺とサラが付き合ってることは重罪なんだと」
「えっ、何それ?」
俺はことのいきさつ。
啓一に婚約者ができたということを話した。
「婚約? 女子高生と? ホントに?」
「ああ、どうやらマジ話らしい」
稀代の大女優もその話に驚いたのか目を白黒させている。
「まあ、水無月くん、嘘つく様な人じゃないしね~」
啓一を含む俺の友人たちには何度かサラと会わせている。
そんななかでも他の奴らが滅茶苦茶驚いて挙動不審になる中で啓一はちょっとずれているというのだろうか。サラに会っても平然としていた。
あのときのやり取りを今でも覚えている。
『啓一、お前はあんまり驚かないんだな?』
『いや、俺、芸能関係とか全然わからないから。そんなに有名なの?』
だもんな。
あの頃からワイドショーで神女優とか何とか騒がれていたのに我が親友は『俺、ドラマとか見ないし』と言ってのけたのだから大したものだ。
サラのことを特別扱いせず、あくまでも俺の幼馴染であり彼女でしかないというスタンスの啓一にはサラも一目置いていたりする。
まあ、今では俺や他の友人たちの教育の結果、啓一も『藤嶋紗良』の凄さを認識したらしく冒頭のメッセージが返ってきたという次第だ。
「へ~、婚約か~、いいな~」
サラがちらっと俺に視線を送ってくる。
何かを期待している、いや、その何かは当然わかっている。
「……サラの人生に対して責任が持てると思ったらな」
俺はまだ大学生、自分の生活すら自分で面倒をみることができない半端者だ。
そんな俺が無責任なことはできない。
「そんなこと気にしなくていいのに。わたしが養ってあげよっか? 毎日私をよしよしするだけの簡単なお仕事です」
「それは止めてくれ……」
俺は神女優『藤嶋紗良』を好きになったんじゃない。
幼馴染の藤堂更紗を好きになったのだ。
俺が一方的に養ってやるなどと言うつもりはないが、サラとは人生のパートナーとして二人三脚で歩みたいと思っている。
恥ずかしいから口には出さないが。
それとまあ、俺にも意地というものがある。
男の沽券というやつだな。
「うそうそ、わかってるよ慎ちゃん。だから私は慎ちゃんが好きなの!」
サラはそう言って俺に抱き付いてきた。
ふわっとお風呂上りの良い匂いが鼻腔をくすぐる。
「だからもう少しだけ待ってくれないか?」
「わかった。楽しみに待ってるね」
俺はサラを抱き寄せて待ってもらう利息代わりのキスをした。
冒頭のやりとりを唐突に思われた方は次作
『田舎に住む年下幼馴染♀に婚約者ができたらしい』(本編完結済み、後日談投稿スタート)
https://ncode.syosetu.com/n0560hb/
を最新話までアップデートできていません。
是非アップデートをお願いします。
【重要】
突然ですがお願いがあります。
ここ最近のランキングであまりにもひどい幼馴染ざまぁブームに対してついに反旗を翻しました。
急遽7/4の朝書いて新作を投稿しました
【緊急投稿】幼馴染スキーが書く幼馴染がざまぁされない幼馴染ざまぁ
https://ncode.syosetu.com/n5190hb/
短編です。
幼馴染スキーの皆様、別にそうでもないけど本作を読んでいただいた皆様
これは聖戦です!
是非一度読んでみて下さい(できましたら応援よろしくお願い致します)。