15. 対決
年明けギリギリ!投稿ひと月も滞っててすいません!なかなか執筆が出来なかったり、話が思いつかなかったりとかなりスローペースになってました。来年はもう少し更新頻度を戻せるように頑張ります!それではよいお年を!
「おーい、こっちこっち!」
遠くの方から声が聞こえ目を向けると、人影が二人こっちに向かって手を振っていた。俺たちはやや速足でそっちへと向かう。
「ごめんね、ここら辺道が入り組んでて迷っちゃって」
「時間ちょっと過ぎたくらいだし気にしないで。それに今日は三人へのお詫びでもあるんだから」
待っていた二人、野上さんと山上君はそう言って俺たちを迎えてくれた。そして、俺たちはそびえ立つ大きな建物の中へと入っていく。
建物の名前は「ラウンド7(なな)」。何故数字が日本語読みなのかはわからないが、有名な総合アミューズメント施設だ。
中には様々なスポーツが手軽にできる施設があったり、ボーリングやカラオケなんかも出来てゲームセンターもあったりといろんな遊びを楽しむことが出来る。
この間の体育祭の一件で野上さん達は俺たちへのお礼とお詫びを兼ねて今回のお疲れ様会を提案してくれた。
エリスが山上君と一緒に行くことにかなり反対していたけど、せっかくの誘いということで利麻と俺とエリスは参加することにした。
さっそく中へ入ると、受付の階へと向かうことにした。とりあえずスポーツがたくさんできる施設で遊ぶことになった。
施設に入ると広々としたフロアにいくつものアトラクションみたいなスポーツの機械が置かれていた。
「それじゃあ、最初は何からやってみようか?」
野上さんが質問してくると、勢いよくエリスが答え始めた。
「私は山上君と勝負がしたいです!」
「えーと、勝負?」
いきなりの宣戦布告に驚く一同。エリスだけは憎らしそうに山上君を見ていた。
「スポーツで勝敗を決めるんです。そして、私が勝ったら以降奏向にちょっかいを出すのはやめてもらいますよ!」
エリスの中では山上君は私を奪う泥棒みたいな感じなのだろう。でも山上君は面白いと言わんばかりの笑顔を返してきた。
「どうするの海人?」
「俺はやってもいいぜ。要は勝てばいいんだろ?」
彼は彼なりに勝負ごとに熱くなっているように感じた。二人の間に火花のようなものが散るように見える。
「とりあえず、適当に回ってみて勝負したいスポーツがあったらそれを二人でやりましょう」
野上さんの言葉でとりあえず施設を回ることにした。スポーツは屋内と屋外で何種類もあった。本格的に出来るものから、ミニゲームのように楽しめるものまであって家族連れや友達と来ても楽しめるようになっている。
私たちはぐるーっと施設を一通り回ると屋外のエリアへとやってきた。そして、野球の施設の前で止まる。
「肩慣らしにこれで勝負するのはどうだ?」
「いいですよ。望むところです」
二人が最初に選んだのは野球のバッティングが出来るところだった。バッティングセンターのように投げられる球を打ち返し、その球が当たった的のところで点数が変わっていく。
球の球速は互いに平均的な100kmになった。けど、この場合女子のエリスは筋力的に不利だと思う。
「いいのか?あれだったら速度落としたっていいんだぜ?」
しかし、エリスはその提案を断った。
「いいです。それに違う条件で勝っても嬉しくないですし」
二人の会話にはすでに闘志がたぎっていた。そして、いよいよ勝負が始まる。二人は同時に隣同士のバッターボックスに入り準備を始める。
「準備はいい? それじゃあ、スタート!」
野上さんの掛け声とともに二人は機械のスイッチを押した。バットを構えると向こう側から球が投げられる。
カキーン
「よし」
快音とともに高得点の的に当たったのは山上君だった。スポーツ万能な彼は野球も得意なようだ。それに比べ、エリスは一番点数の低いところに当たった。初球は山上君が優勢だった。
続いて二球目が投げられるまたも快音が鳴り響く、しかし今回は音が一つではなかった。
「え、エリス!?」
「ふぅ」
山上君とともにエリスも高得点の的へと打球を直撃させていた。隣の山上君も少し驚いていた。そのまま機械は次の球を投げるも、同じようにエリスは綺麗なスイングのフォームで男子顔負けの打球をしていた。
もともと運動神経がいいことは知っていたが、ここまでとは思っていなかった。その後も山上君と接戦を繰り広げ、そして最後の球を打ち終わりそれぞれバッターボックスから出てくる。
結果は僅差で山上君の勝利となった。かなり追い詰められていたことで山上君は冷や汗をかいていた。対してエリスはかなり悔しそうな顔をしていた。
「ぐぬぬ、次です次!」
「おお、望むところだ」
こうして、最初の勝負は山上君が勝利を収めた。というか、この勝負何回戦で終わるんだろう。俺たちはその後屋内へと戻っていく。
そして、エリスは次の勝負の場へと案内をする。そこは、テーブルにネットが張られた、卓球台だった。
「次は、卓球で勝負です!」
その言葉に、山上君はにやりとした顔を返す。
「いいぜ」
どうやら山上君は卓球に自信があるようだ。それは、エリスも同じだろうが、さっきの勝負を見るにエリスが優勢とは思えなかった。
そんな熱き火花が散る中で、野上さんが一言もの申した。
「さすがに見てるだけだと暇だから私たちは隣でやっててもいい?」
「「え、はい、どうぞ」」
俺と利麻と野上さんは空いてる隣の台に移ると、二手に別れて卓球をはじめた。慣れてないからうまくは返せないがラリーが続くだけで楽しかった。
「「なんか、虚しい」」
隣からそんな声が聞こえた気がした。俺はふと隣を見ると二人はいよいよ勝負を始めた。
サーブはエリスからポンポンと音を立ててピンポン玉がコートに跳ねていく。それは何回もラケットに当たり、反対側へと飛んでいく。
けど、突如勢いよく玉はコートに叩きつけられコートの外へと飛んで行った。山上君のスマッシュが決まった瞬間だった。
やはり、エリスは力量差では不利であるみたいだ。試合は進んでいく。3セットマッチのため先に2セット取った方が勝利となる。1セット目からこの展開ではエリスの逆転も難しいかもしれない。
しかし、エリスは秘策を用意していた。既に1セット目も終盤に差し掛かったところで、エリスは打ち方を変えてきた。
来た球を垂直に擦らせるようにして返球をする。だが球の勢いはやや緩くチャンスボールになってしまう。ここぞとばかりに山上君はスマッシュを叩きこんでくる。
勢いよくコートへと飛んでいく、と思いきや球は台の上を通って地面へと落ちていった。つまりアウトになってエリスとポイントとなったのだ。
「あれ?」
「ふふふ」
いつも通りに打っていたはずなのに、返球が狂ってしまったみたいだ。どうやらエリスは球に回転をかけて返球を狂わせるように打っていたらしい。
続けて同じようにエリスは返球をすると、また山上君のスマッシュはコート外に行ってしまった。
「どうです? 私のループドライブの調子は。ただのミスショットじゃないですよ」
「ふん、回転をかけようがそれ以上の力で打ち返せばいいだけのことだ」
再び同じ展開になる。エリスはまたも回転をかけた返球をする。しかも今度はコートのかなり前方だった。後ろで構えてた山上君は慌てて前へ出るものの返球はやはり狂ってしまいエリスの点となる。
そんな様子を横目で見ながら、俺は利麻達とのラリーを楽しんでいた。そして、隣はいつのまにか決着がついたみたいでこっちの台へとやってきた。
「「なんか思ってたのと違う」」
卓球勝負はエリスが勝ったみたいだ。だけど、結局2人とも一勝一敗でこのスポーツ勝負は幕を閉じることとなった。
その後、別のフロアにあるボーリング場へと行くことになった。なんだかんだでボーリングは初体験だから楽しみにしていた。シューズのレンタルを済ませていざレーンへと来ると周りの人たちは思い思いに球を投げていた。
「へぇー、これがボーリング」
「奏向さんは初めてだっけ?」
「うん。テレビとかで見てただけだからどうやればいいのかわからなくて」
「なら私が教えてあげる!」
「ありがとう野上さん」
みんなでレーンの椅子に腰掛けると、早速始まった。まずは手本とばかりにエリスが球を投げる。
球はまっすぐピンへと転がっていき音と共にピンが倒れていく。残り数本を残して一投目が終わった。
その後ニ投目で全てのピンを倒しガッツポーズを決める。
「ふふん、どうですか?」
「よし、じゃあ次は俺だな」
エリスがドヤ顔をする中次に山上君が投げ始める。綺麗なフォームから放たれる高速の弾丸はピンに当たるとそれを弾け飛ばした。
勢い任せの投球で全てのピンを倒したのだ。投げ終わると視線を一度エリスの方へと向ける。
「余裕余裕」
「ぐぬぬぬぬ!」
どうやらまだ勝負にこだわってるみたいだ。しかし意外なことに次に投げる利麻もストライクを叩き出した。
しかも球はカーブを描きながら倒すのに一番いいポジションに投げていたのだ。先に投げた二人は唖然としていた。
「いや、昔からボーリングはよくやっててさ」
よくやってるレベルなのか俺にはよくわからないが、今度は野上さんが投げる。すると私をレーンの側まで誘導する。
「よく見てて、球の穴に指を3本入れて握って、構える時は指をあっち向きにしてそのままで歩きながら、よっと!」
説明しながら転がっていく球はまっすぐピンへとあたり多くの本数を倒していった。
「こんな感じ。とりあえず真似してやってみて」
野上さんの番が終わると、次は俺の番だ。先程教わった通りに持って、慣れないフォームで同じように投げてみる。
しかし球の重みに手がブレてしまい、球はレーンの横のガーターへと吸い込まれていく。
「あっ! 落ちちゃった」
「ドンマイドンマイ。次行きましょ!」
こうしてボーリングは続き、エリスと山上君は結局勝負に燃える中利麻はほぼパーフェクトという圧倒的な差を見せつけて意気消沈させていた。
そして、俺もほぼほぼガーターを連発してとうとう最後の投球を迎えていた。せめて数ピンでも倒してみたい。
みんながじっと俺の背中に視線を向ける中で、俺はゆっくりと投球を始めた。何度も野上さんに教えてもらったフォームをなぞるように腕を振り。ピンに向かって球を放す。
今までより上手く行きそうな予感がした。球はまっすぐに転がっていったからだ。横にブレることなく勢いのまま真ん中のピン目指して一直線に転がっていく。
そして、真ん中へと球は転がるとともにピンを倒していった。ピンは後ろのピンへと倒れ込んでいき、さらにピンが倒れていく。気づいた時にはすべてのピンは綺麗に倒れていた。
「へ、や、やったあ!」
「奏向さんやったじゃん!」
「奏向! すごいです」
「奏向ちゃんすごいね!」
みんなが俺のもとへと向かってきて抱きしめられてしまう。でも今は気恥ずかしさよりも嬉しさの方が大きかった。
ボーリングはすごく気持ちいい形で終わりを迎えることが出来た。
~~~~~~~~~~
「えっと、これ何だっけ?」
俺は受付でもらった丸いコインのようなものを見て尋ねる。
「それはプリに使えるコインだよ」
「プリ?」
「プリクラの事」
プリクラ、俺には縁が全くないと思っていた写真を撮ることのできる機械だ。基本的には女性がいないと男性は使用できないことになっているらしい。
「それじゃあ行こう」
俺たちは施設内のプリクラのコーナーへと向かった。そこではいくつもプリクラの機械があり、それぞれカーテンで中が見えないようになっていた。
壁面には広告みたいに機械のコンセプトが描かれていた。小顔、美白、デコレーションと種類がたくさんあった。
「それじゃあ、海人は一旦待ってて」
「ああ、別にいいけど」
「それじゃ、行きましょ!」
山上君を置いてプリクラの機械へと向かう俺たち。えっと、置いていって大丈夫なのかな? 俺の心情を読んでか野上さんが話してくれた。
「大丈夫! 女子だけで撮った後に全員で撮るから。せっかくなんだし女子だけでも撮りたいじゃない」
そういうものなのかな? 俺は納得すると顔が綺麗に撮れるというプリクラの機械の中へと入っていった。中は白くてそこそこスペースがあった。先ほどのコインを入れて機械を動かすと案内が始まってさっそく撮影が始まるみたいだ。
「可愛いポーズで撮りましょうか?」
「いいですね!」
「それでいこう」
「え? え!?」
案内が写真を撮り始めるアナウンスをする中で、突然のポーズの指示に俺はおどおどする。可愛いポーズって何? えっと、えっと。
3、2、1、パシャ!
「さてと、盛りに行きましょうか」
そう言って機械の外へと出ると写真に加工が出来るブースへと向かう。そこには先ほどの写真が表示されていてみんな可愛らしく笑顔でポーズをとっていた。その中で。
「か、奏向さん」
俺のポーズだけがいろいろと目立っていた。最終的に俺がしたポーズは、恥ずかしそうに顔を赤らめながら両手を頭の上にしたうさ耳ポーズだった。
「か、可愛いです! 可愛いですよ奏向!」
「撮るときも見てたけど、改めてみるとすっごく可愛いね」
「さすが奏向さん!」
「み、見ないで!!」
みんなに見られるとすっごく恥ずかしかった。その後、三人にお任せして盛ってもらった写真が機械から出てくると四人で分け合った。
その後、山上君も一緒に大き目のプリクラの機械でもう一つ面白おかしく持った写真を撮るとプリクラを後にした。
その後、またスポーツ施設に戻ったりゲームセンターで遊んだりしてあっという間に時間は過ぎていった。そして今日のところは帰ることになったわけでお店を出てきたのだが。
「今日はとっても楽しかったわ。みんなありがとね!」
「こっちこそとっても楽しかったよ。まあ、二人はあれだけど」
俺たちは熱くなってる二人へと視線を向けた。
「今日はこの辺にしときますけど、今度奏向にちょっかいだしたらただじゃおきませんからね!」
「別に俺は奏向にちょっかいを出してるわけじゃなくて、ただ仲の良い友達として接してるだけだ」
「呼び捨て禁止です! 奏向にこんな暑苦しい友達はいりません」
「そっちこそ妹に世話焼きすぎてるんじゃないのか?」
「なっ! 余計なお世話です、なんならもう一回勝負しましょうか?」
「ああ望むところだ! さっそく決着を・・・・・・「はいはい、もう時間も遅いから。それじゃあみんなまた学校でね!」ちょっ、恵那! 放せって! 首が閉まる」
言い合いをしていた山上君とエリスの間に割って入ると、そのまま野上さんは山上君の服の首元を引っ張って駅の方へと向かっていった。
去り行く山上君へ挑発を続けるエリスを制すると、俺たちも帰ることにした。
~~~~~~~~~~
家に着くと、遊び疲れのせいか疲れてソファーへと倒れ込む。
「そこで寝ないでくださいよー」
エリスはそういうと服を着替えに部屋に戻っていった。俺はカバンからとあるものを取り出した。それは、あの時撮ったプリクラの写真。恥ずかしがってる自分がみんなと一緒に写っている。でも、その写真がとても気に入ってる自分がいた。
「どこに貼ろうかな?」
そんな独り言をつぶやいていたことすら気づかずに嬉しそうに写真を眺めていた。




