第六十三話「生産施設を作ろう! part1」
「世界が閉じちゃってるんだよな、お前ら」
唐突に、榎木に会話をぶった切られた。
俺がいかにして将棋マンさんをセクハラから守り抜いたか熱く語っていたところだったというのに。
「急に何? 世界は元から閉じてますけど」
「お前がそういう思想なのは分かった。けど俺が言ってる事はそういう事じゃない」
榎木が高説をぶつ気であると感じた俺は、精一杯の威嚇として眉を吊り上げ口をへの字にした。
「変な顔やめてッ」
「やめない。気にせずに、お話をどうぞ」
俺が確固たる意思で変な顔を継続していると、諦めた榎木が続きを話し始めた。
「お前らさ、今どんなVRゲームが流行ってるか知ってる?」
「知らね。倉本は?」
「俺も知らなーい」
一応、相田の方も見る。
「あ、あの……ちょっと目立ちよん……とか」
ちょっと目立ちよん?
何だその元々別のタイトルがあってそれに無理やり語呂を合わせた結果謎に方言になっちゃってるみたいなタイトルは。
「どういうゲームなんだ?」
相田は箸を置き、咀嚼を終えた後に話し始めた。
「大前提として、かくれんぼのゲームなんだけど」
ほうほう。かくれんぼ。
良いじゃないか。
結局人間ってやつは小学生の頃やってたものに帰ってくるもんだからな。
「それで?」
「ゲーム内では、皆が簡素化された人型アバターになるんだけど」
「ふんふん」
「自分のアバターに色を塗れるんだよね。それを利用して隠れる感じ」
へー。普通に楽しそうだな。
「あとリアルでの呼吸と連動してアバターの口部分がパカパカする時があるから、そこも緊張感がある」
それはちょっとクソじゃね?
呼吸制限に加えて運ゲーなのもだいぶ嫌かも。
そうしないと見つからなすぎるのかもしれんが。
とりあえず、俺は俺の知らん所で流行っている物全般がムカつくため雑に批判をしておいた。
「それってさぁ。死体にやらせたら無敵じゃん。良くないんじゃない?」
「まぁ死体にVR機器装着する時点で良くないよね」
そっかぁ。
相田に正論を吐かれて負けそうになったため、俺は大急ぎでまだ勝算が残る榎木に食ってかかる事にした。
「つーか世界が閉じてるって何? そういう抽象的な言葉を言っただけで何かを言った気になるやつって何? ちょっとした個人間の認識の問題を世界とか言って無駄に不安を煽ろうとする奴って何? やたら主語が——」
「どうどう、落ち着け」
俺は榎木に口の辺りを掴まれ、強制的に発声を止められた。
やるね君。人体を掴むことに抵抗がなくなってきたら、それが“始まり”だよ。
気をつけて。
「俺が言いたいのは、もっと別ゲーから要素を学んでさ……」
「ふむ」
それは確かに。
最近はオリジナル路線というか、オリ拷問を皆で考えよう! みたいな路線に入っていた。
だがもう少し足回りを強化すべきだったのではないだろうか?
実際、既存のゲームの要素をパクるのは悪くない手だ。
当然ガチパクリとなると流石に別の問題が発生するが、“クラフトサバイバル系あるある”みたいな要素を出す分には問題は無い。
「やるな、榎木は。いつも芯を食ったアドバイスをくれる。言われた通りにやってみるよ」
「山下、俺まだ話し始めなんだわ」
「山っちは1を聞いてアルファベットを知るからね」
「10を知ってくれよ頼むから」
俺は失礼な事を言う奴らの口を掴んで黙らせつつ、帰宅後の動きについて考えを巡らせた。
【ゲームあるある募集スレpart1】
1:監督
よろしくな
まずは炭鉱マンから!
2:炭鉱マン
お前ふざけんなよ
3:名無しの開拓者
これ何?
4:炭鉱マン
どうせまたなんか変な企画思いついたんだろ
5:PVPマン
こいつが定期的に暴れるせいでずっと活発なんだよなこの界隈
7:くろりん
嬉しい事じゃけどな
まぁ、限度がある
8:名無しの開拓者
らしいっすよクソ監督さん
限度があるわ流石に
9:監督
限度額低過ぎんか?
俺まだ何もやってないんだけど
10:デスゲームマン
既に信用情報に傷がついてますからね
仕方ないかと
11:監督
ふみゅ〜なんでそんなことゆうのぉ〜
本名情報に傷がついてる同士仲良くしよぉよぉ〜
12:デスゲームマン
うーわ殺してぇ〜こいつ
13:名無しの開拓者
草
14:PVPマン
殺意を伝染させる魔物だ
15:名無しの開拓者
ここまで素の殺意引き出せることなかなか無いよ
16:名無しの開拓者
ここはもう……人類が書き込んでいい掲示板じゃない……
17:炭鉱マン
そんで何?
あるある言えばいいの?
味方になった途端無能になるNPC、とかそういうやつ?
18:監督
あのね、炭鉱マンくん
この掲示板にスレ立てしてる以上はユアルにまつわる話なのは容易に想像がつくじゃないですか
わざわざ書かなかったけど、当然集めてるのはオープンワールドかつクラフトサバイバル系のゲームのあるあるに決まってるでしょ?
君はタイピングする前に思考をしていますか?
脳直で書き込んでるよね?
恥ずかしい事ですよ本当に
19:デスゲームマン
思考した上でこれなんですか?
脳直煽りですよねこれ
>11:監督
ふみゅ〜なんでそんなことゆうのぉ〜
本名情報に傷がついてる同士仲良くしよぉよぉ〜
20:名無しの開拓者
カウンターが早過ぎる
21:名無しの開拓者
恥ずかしい事ですよ本当に
22:PVPマン
思考した上でふみゅついてるパターンもあるんじゃないか?
23:炭鉱マン
そのパターンの場合は関係を考え直さないといけないな
24:名無しの開拓者
いきなり呼び出された挙句パワハラされるのは関係考え直さなくてええんか?
25:くろりん
ふむ
して、監督よ
お主も既に発表しようと思っているあるあるがあるのじゃろ?
26:デスゲームマン
まぁ既に自分の中に答えがあるパターンですよね明らかに
27:PVPマン
それを作りましょうみたいな話がしたいんやろなどうせ
28:監督
まぁそうすね
くろりんは何でもお見通しですげぇや
知識ポイント的なやつでクラフトレシピ解放と、既に形が出来上がってるタイプの生産施設(炉とか)をレシピから作ってポン置きできるシステム
……が、ありがち
29:デスゲームマン
ありがちというかまぁ……言われてみれば何も無いの変ですね……
調理器具くらいですか
30:名無しの開拓者
調理器具だけなの変なゲームすぎる
31:炭鉱マン
最初から素直にそれ作ろうって言おうな、次から
毎回喧嘩売るとこからスタートするのをやめよう
32:監督
へへ……
33:名無しの開拓者
炭監てぇてぇ
34:名無しの開拓者
本当に尊いと思ってるか?
35:デスゲームマン
何やかんや色んな人と仲良くなってて怖いですよね
36:炭鉱マン
ここの反応がへへ……なの相当ヤバいはずなんだけどね
37:PVPマン
正直クソ監督に連絡先伝えても平気なやつマジでどうかしてると思ってる
38:名無しの開拓者
わかる
スパムサイトより怖い
39:監督
怖くないよ、俺みんなと友達になりたいんだ
40:デスゲームマン
現状パブリックエネミーなのは理解しておいてくださいね
41:監督
へへ……
42:炭鉱マン
それやめろ
43:くろりん
さて……監督あるあるじゃが、提案自体は真っ当じゃな
久々にやるかの
MOD制作会と、その品評会を
44:名無しの開拓者
クソ監督あるある 別のスレでレスバしているのを何故かアリバイとして使えると思っている
45:名無しの開拓者
クソ監督あるある 相手への攻撃のためには自分の犠牲を厭わない
46:監督
くろりんさん!!! こいつらスレチです!!!!
BANして!!!!!!!
47:くろりん
落ち着け、落ち着け
本題に戻るぞ
生産施設MOD作り大会じゃ
期日は追って決めようかの
48:炭鉱マン
いいねぇ
とりあえず炉MODだな
49:PVPマン
よくよく考えたら炭鉱MOD作っといて炉作ってないのどうかしてない?
50:炭鉱マン
掘った鉄焼きもせずそのままクラフトに使って何の疑問も抱かない猿共が何言ってんの?
51:監督
ウキーッ! ウキキキキー!
ウバァキャーッ!
52:名無しの開拓者
猿が騒ぎ始めたみたいやね
53:デスゲームマン
とても思考能力があるとは思えないレスなんですけど
書き込む度に直前の自分の書き込みの内容忘れてませんか?
54:PVPマン
先んじて猿ギレされたせいで俺がキレるタイミング失ったんすけど
55:名無しの開拓者
どういう日本語?
>先んじて猿ギレ
56:森マン
皆のMODたのしみ~
57:名無しの開拓者
まぁそこはそうね




