表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
53/58

第五十三話「いざ尋常に手合わせしよう!」

「おいてめぇワールド来いやコラ」


 聞き慣れたフレーズと共に今日も全力の小競り合いが始まる。

 何を目的としたレスバだったかも覚えていない。もはや最終的に殴り合いの喧嘩をするためにレスバをしているようなところがある。

 万人による闘争のための闘争だ。


「おうコラてめぇコラおいコラてめぇ」


 リスポーン。初期地点で炭鉱マンとオラつき合いながら斧を拾う。

 一旦停戦し、素材を集める。そこからはひたすらに殺し合いだ。


 接近戦は俺の得意領域なため、早めにあいつを殺してリスキル地獄に持ち込みつつどこかでグリッチをキメてワールドの隙間の虚無へグッバイするのが俺の勝ちパターン。

 建築やら弓やらでうだうだしてどさくさでグリッチをキメて虚無へグッバイさせるのが炭鉱マンの勝ちパターンだ。


 勝率は覚えてないが、なんか俺が勝ち越している気がする。根拠はそうじゃないと俺が悔しいから。


「ほう、初手建築か」


 突然目の前に出現した壁に全身を強打しつつ斧を構える。

 舐めた真似しやがって。かかってこいや。


「斧同士のやり合いで負けるかよォ!」


 炭鉱マンは未だに剣の間合いで斧を振る時がある。悪癖だ。

 だからまずは相手に攻めさせ、疲弊させることでミスを誘う。


「てめ、待てコラ!」


「すいませぇ〜ん、炭鉱マンさぁ〜ん、その振り方じゃ日が暮れちゃいまっせぇ〜?」


「おら死ねボケ!」


「凸りすぎじゃボケてめぇが死ねぇ!」


 返しの斧が当たる。

 後はお互いに斧が当たる間合いでブンブン振れば、初撃分のアドバンテージにより炭鉱マンが先に死ぬ。

 距離が詰まりすぎたのもあり、完全に予定調和の殴り合いが始まった。


「ざっけんな先当てたもん勝ちのゴミゲーがァ!!!」


 炭鉱マンが言い訳を述べながら死亡する。

 ざまぁねぇぜ。

 

「さて、と……」


 このままリスキルに向かうと素手でゾンビアタックしてくる炭鉱マンと泥沼の争いになる。

 それを避け、かつ炭鉱マンに準備する時間を与えない方法は——。




 ——周囲を索敵。クソ監督の野郎の姿は無い。


「即リスキルはしない、了解」


 ならお互い準備の時間だな。

 僅かな時間とはいえ、あのまま資源調達に入れる分のアドバンテージがクソ監督にはある。

 どっかで捲る方法を考えなきゃな。


「うごっ」


 目の前に発生した壁に衝突し、思わず尻餅をつく。

 あ? なんだ?


「よう炭鉱マンくん……俺全身の防具が欲しくてさぁ……」


「は?」


 木々の合間。

 斧を構えて、そいつは立っていた。


「もっと剥ぎ取らせてくれやぁ……」


 引き伸ばされた俺の皮を胴体に纏って。


「うお、うおおおおおッッッ!!??!?」


「逃げんなァ!」


 殺人鬼だ……本物だ。

 まずい。まずいまずいまずいッ!

 殺されるッ!


 俺は必死の応戦虚しく追加で剥ぎ取られ、最終的に虚無の底でびよんびよんさせられた。





【MODの動作に関する報告及び質問総合スレ】


523:監督


 皆さん!

 殺し合いが加速しすぎて防具をクラフトする暇がない時って、ありますよね〜?

 そこでオススメしたいのがこちら!


524:名無しの開拓者


 なんか治安終わってるテレフォンショッピング始まった


525:炭鉱マン


 こいつマジでキチガイです

 ワールドに行くな、今すぐ逃げろ


526:デスゲームマン


 行く気満々なのに……


527:PVPマン


 まず炭鉱マンとの1on1希望した時点でなんかあるとは思ってたよ


528:監督


 【画像データ】


529:将棋マン


 え、グロ……


530:名無しの開拓者


 レザーフェイスかな?


531:PVPマン


 将棋マンさん、この手の画像はだいたいグロいので開かんほうが良いですよ

 てか何これ?

 炭鉱マン? を装備してるっぽいけど


532:名無しの開拓者


 え、グロ……

 【画像データ:異常繁殖グロチキン.jpg】


533:名無しの開拓者


 文章とファイル名で中身教えてくれてて優しい


534:PVPマン


 優しくねぇわ殺すぞボケ

 定期的に貼りやがって

 お前みたいなやつのせいで全然風化しなくて最悪なんだよ


535:将棋マン


 やっぱり人皮製の駒とか作ったほうが良いんですかね?


536:炭鉱マン


 無理しなくていいっすよマジで

 クソ監督お前さぁ……俺トラウマになっちゃうよ?

 今日明かり消して寝られないよ?

 いい歳した男が


537:監督


 なんすか

 

 椅子の形になった人間よりたかだか人皮着てるだけの俺のがグロいってんですか



538:名無しの開拓者


 それはそうカモ……


539:くろりん


 むう


540:PVPマン


 そう言われるとちょっと言い返しづらいものがある


541:バグの黄金比


 なるほど、これが貴方の自己表現……伝わりました


 炭鉱マンさん、防具の形のデフォアバに改造するの手伝いますよ


542:炭鉱マン


 何もどこにも伝わってないよ

 お前が自分勝手な理論を頭の中で一生反響させてるだけだよ


543:名無しの開拓者


 よくわかりませんが、とりあえず椅子のことを悪く言うのはやめてくれませんか

 貴方は普段何に座って生活していますか?

 座るという行為の真意を理解できていますか?


545:監督


 椅子野郎ガタガタで草


 やっぱ人殺してもドロップないの寂しいなって思って

 というわけで防具の2種目はPKやった時にドロップする人皮で作れるレザーアーマーです


546:PVPマン


 こういうやつが死体の写真とかツイッターにアップすんだよな

 どうかと思う


547:監督


 は? 知り合いの死体以外でやるわけねぇだろ

 皮以上のもん剥ぎ取られてぇか?


548:名無しの開拓者


 ちなみに私は椅子の画像を毎晩9時、ツイッターにアップするようにしています


549:名無しの開拓者


 椅子ニキ急にディスられた反動で自語り始めちゃった……


550:炭鉱マン


 てかどの皮も俺になるわけ?


551:監督


 まぁ現状そうすね


552:名無しの開拓者


 草


553:炭鉱マン


 こいつマジで最悪だ


554:森マン


 本当は殺したやつのアバターに応じて見た目変わるようにしたかったんだけどね

 めんどくさくて


555:炭鉱マン


 こいつらマジで最悪だ


556:名無しの開拓者


 声も皮も引き伸ばされ男


557:名無しの開拓者


 最悪なドライフラワーのサビ?


558:名無しの開拓者


 声も

 皮も

 引き伸ばされ〜♪


559:監督


 満足したんで普通に野人から橙色の皮落ちてノーマルレザーアーマー作れるバージョン配布するね

 【防具MOD ver1.1】


560:炭鉱マン


 あのすいません、その野人ってモデル元がいらっしゃいまして

 モデル元どころかまんまでして

 矛先が変わってるだけじゃないすかね????


561:森マン


 別に文句言わないと思うけど


562:野人


 正直興奮する


563:森マン


 ほら


564:炭鉱マン


 もうだめだ

 俺がおかしいのか?


565:監督


 ケッ、部外者が

 いっちょまえな理屈垂れてんじゃねぇよ


566:PVPマン


 まぁまぁ

 防具型とかだいぶマシな気がしてきたし元気出せよ炭鉱マン


567:名無しの開拓者


 今椅子のことディスりました?


568:PVPマン


 ディスってないディスってない

 落ち着いて


569:名無しの開拓者


 座布団にも劣る発情有機物が……


570:PVPマン


 あ、応戦してくる感じ?

 了解

 ワールド来いや


571:名無しの開拓者


 いいでしょう

 お座りさせてやりますよ

 明日の晩の画像は貴方で決まりだ


572:PVPマン


 レザーアーマーにしたるわボケ

 開いたからはよ来い


573:炭鉱マン


 なんか負けたらツイッターに晒されることになってない?

 しかも勝った時の利点もないけど大丈夫?


574:監督


 椅子野郎のツイアカ誰か持ってない?

 お座りグロチキン見たいわ



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
ハロウィン回見直してて気づいたんすけどこれ黄金体験って黄金比じゃなくて森マンだったんすね 話し方で黄金比だと思い込んでた
異常繁殖グロチキン椅子の姿。ifの世界線のキャラを見せてくれるゲーム、みんなも好きだよね。そういうことだよ。
やっぱり名無しも今はスレで大人しいだけの潜在ネームドなんだ
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ