表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
44/58

第四十四話「ボス戦をしよう! part1」


「でさ、レイド戦がこれまた楽しくてさぁ」


 昼休み。弁当を食べながら、相田がつい最近サービスが開始したらしいVRMMOの話を饒舌に語っていた。


「なんか前まで敬遠してたけど、いざやってみると面白いというか」


「相田さん。ご飯を食べながらお喋りしないの」


「姑?」


 ただ俺の指摘を真摯に受け止めたのか、相田は無言で飯を食い始めた。

 それを見た榎木が、非難するような視線をこちらに向けてくる。


 はあ。ったくしょうがねぇな。


「冗談だ、相田。存分にクチャりながら喋り散らかしてくれよ。俺、お前の話が聞きたい」


「聞きたいヤツの言い草じゃねぇだろ」


 俺の言葉に感銘を受けたのか、相田がおずおずと口を開いた。


「いや……よくよく考えたら山下ってVRMMOアンチだったなって。なんかごめん」


「なんで? 違うよ?」


「そうだよ。山っちは全てのアンチ、アンチオブオールだよ」

 

「なんで? 違うよ?」


 全てのアンチが学校で行儀良く弁当食うわけなくない?

 椅子にも多分まともに座らないし箸バキバキに折ったあと知恵の輪みてぇな謎食器使いだすと思う。


 俺がアンチオブオールのスクールオブライフについて考えていると、相田がおずおずと口を開いた。


「いやだって……前MMOやってみね? って誘った時、死体から漏れ出たガスみたいな返事した後いっさい連絡つかなかったじゃん」


 死体になりたいらしいな。

 俺は咀嚼を終えた後、ゆっくりと口を開いた。


「相田アンチの山下です。質問にお答えします」


「は?」


「それはお前が深夜にいきなり電話かけてきて、クソだるいテンションで誘ってきたからです」


「それマジ? 俺も相田アンチ始めようかな」


「そんなスマホゲーみたいな……」


 しかし実際思い当たる節があったのか、相田の語気が徐々に下がっていった。

 わかりゃいいんだよ。


「で?」


 意気消沈の相田に優しげな視線を送る。

 最初こそ怪訝な表情の相田だったか、俺の意図を察したのか顔を綻ばせた。


「へへ、じゃ、じゃあさ。今日明日あたりに一緒に——」


「いやだ」


 アンチではないが、別にMMOはやりたくないのでな。




37:監督


 てな感じで、なんか喧嘩になっちゃったんだよな

 仲直り代わりにユアル内でボス戦やりたいからMODの制作をお願いしたいんですが


38:炭鉱マン


 そうか、早急にアップデートしないとな


 お前の人格を


39:名無しの開拓者


 頭おかしいんか?


40:PVPマン


 その流れで感想が「なんか喧嘩になった」はもう脳のどこかしらが壊死してるだろ


41:デスゲームマン


 ボス戦ですか、まぁできますけど


42:監督


 デスゲームマンか、確かにな

 そんじゃあ単身で俺のワールド来てくんね?


43:炭鉱マン


 それただの決闘では?


 ワールド開く時俺も呼んでな


44:デスゲームマン


 何なんですか?

 罪滅ぼしも兼ねてまともなMOD作りに励もうとしているというのに


45:名無しの開拓者


 あの一件以来、基本敬語なのガチの“畏れ”を感じてすき


46:森マン


 普通に一緒にゲームしてあげなよ……


47:名無しの開拓者


 本当にこれ

 >>46


48:監督


 なんすか


49:名無しの開拓者


 な ん す か


50:炭鉱マン


 なんすかはこっちのセリフだよ


51:PVPマン


 つーかクソ監督は結局どうしたいのよ

 

52:監督


 いやまぁ…………流石に大人気なかったかな、とは思う……

 仲直りは……してぇよ。友達だし


53:名無しの開拓者


 一瞬だいにんきって読んじゃう


54:デスゲームマン


 うーん……


55:監督


 あとこんだけやってボスの1匹もいないのもどうかと思う……

 モブ戦以外も……してぇよ。ゲームだし


56:炭鉱マン


 なんだぁ? テメェ……


57:PVPマン


 ええ度胸やん

 かかってこいやオラ


58:デスゲームマン


 まぁちゃんとしたの作ってみても良いですよ

 頼み方次第ですが


59:名無しの開拓者


 おっ


60:名無しの開拓者


 普通に楽しみだからクソ監督、頼むぞ


61:監督


 分かった


 俺の誠意を見せる



 だから、俺のワールドに来てくれないか?



62:デスゲームマン


 こいつマジでさぁ

 いや、どっちだ……?


63:炭鉱マン


 誠意のある態度が見れるか、シンプルリンチか……五分五分ってトコだな

 俺も同行する


64:PVPマン


 とりあえず今八分二分くらいになったな


65:名無しの開拓者


 シンプルリンチ普通に怖すぎだろ

 1%でも可能性があるだけで嫌だわ


66:デスゲームマン


 ワールドは行かないですけど、作る見返りが欲しいですね


67:森マン


 見返りは……どうなのかなぁ……


68:監督


 んだよ、名声か?


69:名無しの開拓者


 金じゃないんだ


70:PVPマン


 なんでコイツ名声あげられる感出してんだ

 奪うことしかできねぇ賊のくせに


71:炭鉱マン


 グロチキが言うと説得力が違うな


72:名無しの開拓者


 賊×2




73:デスゲームマン


 電撃属性のボスを出すことを、許してくれませんか



74:名無しの開拓者


 賊×3


75:水マン


 それ、クソ監督の一存で決めていいの……?


76:デスゲームマン


 一旦クソ監督にだけ渡す予定なので


77:炭鉱マン


 電撃の出力を上昇させて本気でVRショック死させようとしてるか……五分五分ってトコだな


78:PVPマン


 2分の1の確率で殺意があっていいわけねーだろ


79:監督


 仲直りしてぇつってんのに脱法MOD押し付けてこようとしてんじゃねぇよ

 頭おかしいんか?



 いいよ



80:名無しの開拓者


 いいわけねーだろ


81:名無しの開拓者


 頭おかしいんか?


82:デスゲームマン


 ありがとうございます

 やはり“友情”というものは極限状態でこそ試される、そう思いませんか?


83:炭鉱マン


 そういやこいつデスゲームマンだったわ


84:PVPマン


 友情が崩壊するかどうか……十分零分ってトコかな


85:名無しの開拓者


 片側の確率ユアルになってますよ


86:森マン


 俺行かないからね、2人でやってね


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 70:PVPマン  なんでコイツ名声あげられる感出してんだ  奪うことしかできねぇ賊のくせに 火の玉ストレートすぎる…
[良い点] 森マンいいやつだな……… それに比べて賊×3ときたら
[良い点] 国会の答弁みたいに返事するの好き
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ