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第二十八話「環境を増やそう! part1」


「諸君! 諸君らは大自然と聞いて何を思い浮かべる?」


 いつものワールド。いつものメンツ。

 くろりんが異形を引き連れ壇上で叫んでいた。


「……えぇと、森?」


 森マンこと全身金色人間の倉本が恐る恐るといった風に発言した。


「それだけかね?」

 

 くろりんの言葉に俺は今回の会議の趣旨を察した。


 今のユアルは、草原と森しかない。そこの改善案ってとこだろう。

 ならば俺が言うことは決まっている。


「海、川、山……それに森ばっかでもダメだ。草原も挟まねぇと。あぁ、あと熱帯雨林とかも有りかもな」


「監督よ。まさにそれじゃ」


 どこから取り出したのか、くろりんが扇子でビシッと俺の方を指した。

 何故扇子を……?

 

「ちなみにこれは扇子MOD。扇子を追加するMODじゃ」


 その労力を他に回せや。


 ツッコミをぐっと堪えて、くろりんがホワイトボードに文字を書き込むのを待つ。

 数秒ほどして、完成した。


 ホワイトボードには、環境を作ろう!の文字。


「環境じゃ。幸い、このゲームは生成アルゴリズムに関してはある程度整っておる。そこに新たな川やら海やらを追加する。ランダム性や、環境の違い。それらでゲームに深みを作るのじゃ」


 深みか。深淵なら広がってるけどな。

 深く昏い虚無の闇が。


 まぁそんな事はさておき、環境か。

 今までに生成されるワールドはワンパターンで、一度野人の巣を攻略してしまえば何も楽しむ場所がないゲームだった。

 そこを一気に改善できるかもしれない策だ。

 とりあえずワールド毎の景色が違えば歩いているだけでも多少楽しめる。


「でも池すらまともに作れてないのにいけるんですかね」


「水マン。そう卑下するな。粘性バグは未だに直っておらんが、まぁ皆そういうものであると受け入れつつある」


 海までネバネバだったら流石に許容量オーバーだけどな。

 なんかこう、自然というか……生命全体への冒涜を感じるので。


「水マン、たまには俺に相談してくれていいんだぜ」


「炭鉱マン……」


 水マンと炭鉱マンが熱く抱擁を交わし、互いのアバターが一瞬ぶるっと震えた。

 きっしょ。


 だがまぁ、炭鉱マンは野人の巣を個人で制作したツワモノ。実際かなり頼りになる人材だ。

 アイツに相談するという手はかなり有効なはず。


「で、じゃ。監督」


 くろりんがちょいちょい、と手招きをしてくる。

 なんだ? PV第二弾の話か?


「ちょっとMOD制作に手を出してみないかの?」


「えっ。いやです」


 俺が即答すると、背後にいたギャラリーあほどもが一斉にBOOOOO! と不満げな声をあげた。

 殺すぞ暇人ども。俺は忙しいんだ。


「なぁに、単純なMODじゃから大丈夫じゃ」


「いやその……俺、テスト勉強とかあるんで……」


「グローバル化MODというんじゃが」


 ふざけんな。

 俺はユアルからログアウトした。






【クソ監督を】グローバル化MOD協力者募集スレ【逃がすな】


1:PVPマン


 >137:グローバルマン

  

  リーセントリィ、メイドされるMODがメニーでアイのキャパシティをビヨンドしてるわ


2:名無しの開拓者


 ビヨンドじゃなくてオーバーって素直に言えや


3:グローバルマン


 ワオ! アイをアシストしてくれるバディをサーチしてくれるのね!

 サンキュー!


4:PVPマン


 湧くのはや


5:グローバルマン


 ファースト、私はアイのキャパシティがアベレージよりベターなスィングだとスィンクしていたわ

 でもねバット、私はノティスしたの。アイってオゥディナリィなんだって


6:PVPマン


 監督はやくたすけて


7:名無しの開拓者


 でもねバット←毎日がエブリデーみたいですき


8:名無しの開拓者


 監督も呼ばずに怪物を呼び出すな


9:炭鉱マン


 おい誰か

 森マン呼んで直電させろ


10:森マン


 わかった!


11:名無しの開拓者


 救いの一手


12:グローバルマン


 ワイ?

 

13:名無しの開拓者


 急にJの民になったのかと思ったけどwhyか


14:グローバルマン


 ?



15:監督


 全員殺します


16:名無しの開拓者


 ジェノサイダー!?


17:PVPマン


 メイン翻訳きた! これで勝つる!


18:炭鉱マン


 初手のパンチラインが強すぎる


19:名無しの開拓者


 パンチラインの、パンチラの部分


20:グローバルマン


 ハァイ、バディ!


21:監督


 既にバディ確定なんですか?

 なんで?


22:名無しの開拓者


 草


23:名無しの開拓者


 グロ監てぇてぇ


24:炭鉱マン


 メイン翻訳が翻訳MODに関わらないでどうすんだよ


25:PVPマン


 グローバルマンの怪文書さえ翻訳したお前の腕……ウチで活かさないか?


26:名無しの開拓者


 ウチに採用された時点で腕死んでる定期


27:名無しの開拓者


 虚腕


28:名無しの開拓者


 技名っぽくてかっこいい


29:監督


 虚人どもが

 全員膀胱に石ができればいいのに


30:名無しの開拓者


 虚人すき


31:グローバルマン


 オゥ

 アイとコラボレーションしてMODをメイドするのはディテストゥ?


32:監督


 うるせぇな

 やればいいんだろやれば


33:グローバルマン


 リアリィ……ディテストゥ?


34:名無しの開拓者


 お?




35:監督


 嫌ではあるだろ……


36:名無しの開拓者


 て ぇ て ぇ キ ャ ン セ ル


37:名無しの開拓者


 うーん、これはクソ監督!w


38:炭鉱マン


 乙女心 ×

 虚無適性 S


39:監督


 いや実際お前らが嫌がったせいで俺に手番が回ってきてるんですよ

 そんなに俺を非難するならお前らがやれって話ですけどね


40:名無しの開拓者


 ほならね理論すき


41:名無しの開拓者


 ほならね理論きらい


42:PVPマン


 クソ、でも言い返せねぇ……


43:炭鉱マン


 グローバルマンの気持ちを考えろって言おうとしたけどアイツの気持ち考えるの無理ゲーだったの思い出したから黙るわ



 

44:監督


 まぁ俺はグローバルマンを呼び込んだ責任があるんで引き受けるけどな?

 お前らと違って責任感があるので


45:グローバルマン


 フフン、ホット・アンド・コールドね


46:名無しの開拓者


 ?


47:炭鉱マン


 ?


48:PVPマン


 ?


49:監督


 ?


50:名無しの開拓者


 お前はダメだろ


51:PVPマン


 ちゃんと翻訳して、やくめでしょ


52:炭鉱マン


 #クソ監督仕事サボんな


53:監督


 仕事サボりに関してはお前にだけは言われたくない


 てかガチでわからん

 何?


54:グローバルマン


 アイのコンタクトをくろりんをスルーしてデリバァしておくわ!

 アフター、アイとミィーティングしましょ!


55:監督


 全然教えてくれない上に連絡先押し付けてくるし

 悔しくて涙出てきた


56:名無しの開拓者


 涙の数だけ強くなれるから頑張って


57:PVPマン


 大丈夫、俺らはグローバルマンが現れた時点でずっと怖くて涙出てきてるから






58:名無しの開拓者


 クソ監督、エレン説


 エレンは、巨人を全員駆逐したがっている

 クソ監督は、虚人に対して「全員殺します」と発言しており、これは全員駆逐したがっていることを指している


59:監督


 急に何すか????????


60:名無しの開拓者


 一個じゃ弱いね、もっと共通項探してこうか


61:名無しの開拓者


 ハァイ、バディ! じゃあアイとミィーティングしましょ


62:監督


 お前ら次くろりんのマルチサーバー入った時、覚悟しとけよ

 本当の浮遊感を教えてやる


63:炭鉱マン


 お、新しいバグ式処刑法見つけたの?

 後でアイとミィーティングしましょ


64:監督


 お前の身体に教え込んでやるから覚悟しとけクソが


65:PVPマン


 このネタ、あと一週間は擦られそう


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― 新着の感想 ―
[良い点] ホット・アンド・コールド…? ああツンデレか
[一言] 毎度腹が痛くなるほど笑って読んでます!もっと更新して欲しいけど無理は言わん…頼む…エタらないでくれ…!
[良い点] 久しぶりの更新でもキレが落ちてないの好き
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