「記録」#0
2005年7月12日。
東京都某区の一軒家で夫婦と見られる2人の遺体発見
夫婦の子供と見られる少年は無事。
便宜上、この事件を「某区夫婦殺害事件」とする。
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被害者は神部 憲史(49)
神部 春海(47)
・現場状況
妻 春海、夫 憲史の遺体はどちらもダイニングに横たわっていた。血痕が不自然に広がっていないことから殺害した後遺体を移動することは行っていないと見られる。
・発覚までの流れ
近所の人の「叫び声が聞こえた」という通報により、午後6時35分事件発覚。
夫婦の子供である神部 逸人くん(当時12歳)はトイレに閉じこもっていた所を駆け付けた警察官が発見。直ちに保護された。
・捜査
検察官が犯人のものと見られる指紋、毛髪等を検出。
更に逸人くん本人の証言である「6時頃」「約170cm位」で「黒いフード付きパーカー」を着た「男性」を調べあげた所、3人の男性が捜査線上に浮かび上がった。
それぞれにDNA鑑定を行ったが、結果はどれも不一致。
さらに、3人の男性はそれぞれアリバイがあり、3人とも関係者への捜査、防犯カメラの映像などにより証明された。
これより先は決定的な証拠が見つからず、約5年後の2010年9月25日に事実上の捜査打ち切りが発表された。
この「某区夫婦殺害事件」は、発覚から7年たった今でも未解決のままである。私はこれから、この事件に関する「記録」を残していきたいと思う。真実が明らかになるその時まで。【2012/8/11】
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神部逸人は、wordに文章を打ち終え、事前に準備した『「記録」ファイル』に保存した。
そしてPCの電源を落とし、明かりを消してベッドに寝転んだ。
漸く、漸くだ。僕はこの日をどれだけ待ちわびたことか。
あの地獄のような7年はこの日のためにあったのかもしれない。そう思えるほど逸人の心は高鳴っていた。
父さん、母さん、僕はいつか絶対真実に辿り着いて犯人を見つけ出すから。見つけ出したその時は…
「この手で殺してやる」
煮えたぎった憎悪が思わず口から零れ出た。
そして、その日はそのまま眠りについた。
はじめまして。リンクスと申します。
今回、初の小説投稿です!
至らない点ばかりだと思いますが、どうかご指摘宜しくお願いいたします!
ちなみに、あらすじが本編より進んじゃってます。申し訳ないです。m(*_ _)m