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太は家に着いて、リビングのテーブルの上に置いてあるレタスをちぎったものと別に置いてある綺麗な一品について母に尋ねに行く。
「ママ〜。あのご飯なに?俺は幻覚でも見ているのかな?」
「ご飯?レタスのちぎったものがそんなに嬉しかったの?太ちゃんたらもう〜。今度からレタスのちぎったものを朝、昼、晩に出しておくわね」
「ち、違うよママ!綺麗に盛られてる皿が一品あるじゃないか」
太母はそのきれいに盛られている一品?について記憶になかったので
「え?きれいに盛られた一品?知らないけれど。あ!そういえば雅ちゃんがキッチンに入って何がしていたわね。それつくったの多分雅ちゃんじゃないの?」
雅がつくったんじゃないのと聞いて、太の晴れやかな気分でいた状態が落ち込む様子に変わる。
「やだ。何そんなにあからさまな表情してるの!あの時とは違うわよ!流石に雅ちゃんだって料理の練習くらいしたわよ!」
「ママは雅ちゃんが料理の練習したの見たことあるの?」
「もちのろんでないわ!」
いや胸はって言うことじゃないよ!
「まぁまぁせっかくつくってくれたなら食べればいいじゃない。残すのは勿体無いわよ!」
「まぁ昔よりはいいかもしれないけど・・・」
テーブルの上に置いてあった一品。きれいにできていたのであれほどなら味も大丈夫なのではないかと。
「ちなみに皿の上には何を盛ってあったの?」
「野菜の盛り合わせ!」
「ママのレタスちぎったのと変わらないじゃない!なら大丈夫じゃないの?」
「いや人参とか生で入ってるかもしれないし、それに野菜だからといって侮れないよ」
過去に一度雅が中学生くらいの時、一度だけ料理の味見をしたことがある。その時はこんな機会をくれた人に感謝しながら味見したが、味はすごくひどかった。しかしそれはマイシスターには悟らせない。それができるお兄ちゃんだからね!
しかしママの前ではできれば雅ちゃんに二度とキッチンには立たせないほうがいいと忠告しておいたはず!
「何故だいママ!昨日の夜飯と今日の夜飯は俺の事徹底的にいじめてくるけど何故なんだい!」
「そりゃ、今日も朝出る前に言ったこと守らなきゃママは気分が悪いからよ。ママはちゃんと朝言いましたよ。帰ってくるのが遅かったら雅ちゃんをキッチンに立たせるって。まぁ冗談だったけど雅ちゃん自らキッチンに立ってくれたからありがたかったけど。学園でよほどひどいことでもしたの?」
「するわけないじゃないか!いいよ!もう食べてやる!美味しくても知らないからね!」
太は逆ギレしてリビングに戻る。
「いや美味しければいいんじゃないかな」
と太母は思いながら主婦業に戻った。
リビングからは太の悲痛な叫びが聞こえ、部屋にいた雅でも聞こえるその声に雅はガッツポーズを部屋でしていた。




