003
俺の通っている高校、恋尾学園は俺の家を出て大体普通の人で走ると20分くらいで着くが、俺は足が速いからざっと30分だな。
あれ?可笑しいな普通の人が20分なのになんで俺が走って通って30分かかるんだろう?まぁ気にしないでおこう。
「とりあえずいそがないと。マイシスターに恥をかかせるわけにも行かぬ!」
勢いまいて走る太だが、すごく息切れが早かった。
「なんの!息切れが早かろうと学校には間に合ってみせるぅ!」
口に出して行って走っているつもりでいた太だが全然足が進んでいなかった。
息をあげながら走っているつもりでいる太。
そして後ろからもう1人走ってくる人がいた。
「よう。太!早くしねぇと遅刻しちまうぜ。」
紹介しよう、この今爽やかに俺に喋りかけてくれているのは古河 時夫だ。
こいつとは小学生の時にからの腐れ縁で、小、中、高と今のところ長い付き合いである。
「ふ、時夫も早くしないと遅刻だぜ?いつも朝早いお前がどうしたよ。」
「いや〜昨日の夜夜更かししてネット見てたらねおちしちまってよぉ。起きたらこの時間だったんだよ。」
時夫は特に趣味はないけどハマるときはなんでもハマる。運動しかり、勉強しかり、趣味しかり、恋愛しかりと、最近はネットの動画を見るのにはまっているらしい。
「そんなことよりマジで早くしねえと遅刻だぜ。もう10分しかねぇよ。」
「何!急がねば今日はマイシスターの晴れ舞台!」
「そっかぁ。雅ちゃんも今日から高校生かぁ。ってなんでお前そんな大切な日に遅刻しそうになってんだよ!」
走りながらノリツッコミしている時夫であった。
「いやぁ。朝はゆっくり朝飯を食べたくて。」
「てへぇ」っと太は時夫にウィンクする。
「俺にウィンクする暇があるなら走るぞー!」
「やってやらぁ!」
太は限界にきている足で頑張って高校へと走る。
数分後、太と時夫は遅刻せずに済んだが、太は校門で魂が抜けたかのように倒れて、時夫は疲れていたが、魂が抜けたような地面に転がっている太を引きづり、下駄箱までつく。
「太!生き返れ!もう学校に着いたぞ!早く教室まで行かないとここまで頑張ったのがパァだぞ!」
太は息をカラカラにしながら、
「た、のむ。親友の、お前、にしかたの、めない。俺は、玄関で、休んでから、教室に行くって、クラスのやつに、言っといて、くれ」
「全く。一緒なクラスでよかったな!それじゃ先に行っているぜ!」
時夫はそう言ってダッシュで階段を駆け上がっていく。
ちなみに言い忘れていたが太と時夫は恋尾学園の2年である。
太は下駄箱でへばって下を向いている間に下駄箱付近の廊下を1人の女性が歩いていた。
のちにこの1人の女性が関わることを太はまだ知らずにいた。