028
太が前に出て自己紹介を始める。
「俺の名前は丸山 太。趣味はアニメ鑑賞!好きなタイプはこのふくよかさをわかってくれる娘かな」
「はい。ありがとね、じゃ席に戻っていいよ」
「先生待ってください!私にも時間を!アピールタイムを」
「いやもう時間がないのでそういうのはなしで、祭子さんは一年生だから花を持たせてあげたけど貴方は二年生なんだから自重しなさい」
「・・・ふっ。仕方あるまい。先生に花をもたせてあげるのもいい男の役目か」
太がそう言うと、豊臣先生は
「すみません。鬼島さん、私トイレに行きたくなったのでこの場を少し任せてもいいですか?」
「?わかりました。任されておきます」
「ありがとう。じゃちょっと失礼するわね」
豊臣先生は教室を出て二階のトイレに向かう。
そして遠くから、豊臣先生の叫び声らしきものが聞こえる。
ふっ。花をもたせすぎて先生まさか俺に惚れ直しているんじゃないかな。全く罪作りな男だよね俺は!
と1人すこぶる気分の良さそうな顔をしていた太だが実際、豊臣先生が向かったトイレでは
「あんのくそデブ何が教師に花をもたせてやるだと〜。下手に出てりゃいいきになりやがってクソガァ!」
と便器に向かってできるだけ響かないように豊臣先生は叫んでいた。
その頃、恋愛委員会は自己紹介の続きをしていた。
「えーと古河 時夫といいます。趣味は色々。好きなタイプも色々。その時その時ですね。以上」
時夫は席に戻り、次に拳子が自己紹介を始める。
「私は鬼島 拳子。趣味は鍛えること。好きなタイプは私を女として扱ってくれる人ですね」
拳子がそこまで言うと三年生の1人、剛が
「へぇ〜。あの鬼の風紀員と呼ばれ、しかも男をも倒すあの屈強な鬼島さんが自分を女として扱ってくれる人がタイプだなんてね〜。ふーん」
「何ですか?言いたいことがあるならはっきり言えばいいじゃないですか」
拳子も言い方に腹を立てたのか先輩にくってかかる。
「いや。そんな物好きはなかなかいないだろうなと思ってね」
「そうですか。ではいずれあなたを見返すほどのいい彼氏を作って見せますよ先輩。じゃお次に先輩、自己紹介どうぞ」
そう言って、拳子は席に戻り、拳子に反発した先輩。剛が前に立つ。
「・・・業 剛。趣味はない。好きなタイプも特にない」
「趣味がないとは先輩も変わってますね」
「うるさい。黙れ」
拳子が剛をからかうと、剛は捨て台詞を吐いて自分の席に戻る。そして次にいつも剛といる小柄の生徒、多羅が前に出てくる。
「牧月 多羅。趣味 読書。好きなタイプ特になし」
それだけ言うとそそくさと多羅は席に戻る。そしてまたタイミングを見計らったかのように
「みなさん自己紹介は終わったようですね。では今日の集まった本題について話します〜」
と豊臣先生が教室の扉を開けて、中に入って来て言う。




