ばあちゃんのサプライズ
連投です。
序章 少年期
朝日の出とともに目を覚まし、朝食を食べ、ばあちゃんと勉強し、昼食を食べ、森で遊んで、夕食を食べた。
そんないつも通りの変わり映えしない1日を過ごし、あとはいつも通りに風呂に入って寝ようかと思ったその瞬間にいつも通りが壊された。
「ヴィル。食器片付けたら家の前に来な。」
そうばあちゃんが言った。
「急になんだよ。」
「いいからつべこべ言わずにさっさと準備しな!」
そういうばあちゃんは心無しかウキウキしているようで珍しいなと思いつつ食器を手早く片付け、外に出た。
外には既にばあちゃんがいた。
しかしばあちゃんは今まで見たことの無い格好だった。
つばの広い三角帽子に大きなローブ、手には宝石や金で豪華に飾り付けられた木の杖を持っていた。
ばあちゃんは
「遅いよ!いつまで待たせるんだい!」
とかなんとか言ってたけど顔はおもちゃを前にした子供のように輝いていた。
俺はいよいよ訳が分からなくなってきた。
ばあちゃんやよくくる行商のじいちゃんがよく読んでくれた絵本によく出てくる魔法使いの格好をしているんだ?訳が分からん。
「ばあちゃんそのカッコは?その杖見たことないんだけど?」
そう聞くと
「まあ見てなって。」
とばあちゃんは笑い、杖を構えた。
「ライティング!」
ばあちゃんの掛け声と同時に地面に何やら複雑な円形の模様が浮かび上がり、光り輝き始めた。
「ヴィル。見てな、これが...」
魔法陣がいっそう光り輝き思わず目を瞑る。
目を開けるとそこには
光、光、光。色とりどりの美しい光があちこちで乱舞し、ぶつかっては光の粒を迸らせながら消えてゆく。
「魔法だよ!!」
俺はその美しく幻想的な光景に目を奪われていた。
「あ、ああ...」
この感動を声に出そうとしたが上手く言葉にできず声にならない声が漏れる。
しばらく経ち、ばあちゃんによる光のショーが終わると、ばあちゃんがそばに来て、
「どうだい?これが魔法さね。すごかったかい?」
ばあちゃんが会心のドヤ顔でそう言った。
それまで美しい光景に心を奪われていたが、ばあちゃんがそんな顔するから台無しだ。
「ぜ、全然す、すごく無いしー。心なんて奪われなかったからね!勘違いしないでよね!」
と心にも無い事を口走ってしまう。
それを聞いたばあちゃんは
「はっはっはっはっwww」
と一通り大爆笑して
「そうかいそうかい。すごかったかんだねえ。ばあちゃんにはよーくわかるよぉ。」
と猫なで声で言ってくるので俺はさらに逆上して
「うっせえBBA!とっととくたばっちまえ!」
と捨て台詞を吐き、部屋に逃げるように帰った。
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