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我輩は猫である。マジ弱い  作者: カキツバタ
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始まり

思いつくままに書きます。

ゆるーい雰囲気を楽しんでもらえればうれしいです

 毒虫の気持ちなど、わかる日など来ないと思っていた。

 

 日々仕事をこなし、只管に生きる糧を得ながら過ごすのみ。やりたくないことがやりたいことを殺していくのは中々に業腹な事ではあるが、まあ生きるためには仕方がないことであるな、と割りきりながら働くそんな最中のことであった。


 「犬さん、もうあのゲームやりましたか?」


 私の隣で働く狐ヶ崎が、興奮した様子でそう話しかけてきたのは。

 はて、ゲーム。私は狐ヶ崎が何故急にそんなことを聞いてきたので、少し考えにふけることにした。さて、私がゲームから離れてしまったのは、いつのことだったろうかと。

 もう昔ほど働かなくなった頭を必死に動かしてか細い記憶の糸を手繰っていけば、私がゲームをやっていたのは最早懐かしい記憶だということがわかった。

 私の両親は所謂ゲーム等のサブカルチャーが好きな人間であった。ゲームをピコピコと言うこともなく、むしろ私よりもゲームをやり込んでいた人間であったのは間違いがない。

 私の母はよく勇者を「ソナタはもう十分に強い」と何度も言わせてきた軟体メタルの天敵であったし、父はライトノベルやアニメによく手をつけ、家には父専用の本棚が置かれていた程であった。

 その様な環境に置かれてきた私がゲームをやり始めたのはいわば当然であり、私もまた、それなりにゲームを楽しんでいたのを覚えている。まあ身の回りが忙しく成るのにつれて、自分から自然と離れていってしまったのだけれど。


 「おーい、聞いてますか?犬さん、犬川さん?」


 そんな風に私の拙いゲーム遍歴を懐古していると、訝しげに狐ヶ崎が眉をひそめた。


 「ああ、すまない。少し考え事をしてたんだ。

 しかしゲーム、かあ。随分ご無沙汰だなぁ。と思ってしまってね」


 「あははは、なるほど。

 じゃあ゛あの゛何て言ってもわかりませんよね。驚かせてしまいましたかね。」


 ごめんなさいと、悪いとあんまり思って無さそうな顔でそう謝る狐ヶ崎。まあコイツはいつもこんな感じであるのであまり怒る気にはならない。

 いや、興味があるから続けてくれと言えば、狐ヶ崎は目をキラキラと輝かせながらそれじゃあ、と興奮覚めやらぬ様子でこう続けてきた。


 「あのブルーキャットが新作のゲームを出したんですよ!

 そいつが凄いのなんのって!わたし昨日からずっとやりっぱなしで!」

 

ブルーキャット、所謂有名なゲーム制作会社である。「一世代先の楽しみをあなたに」をキャッチコピーに世界中に支社を持つ大企業である。その会社が世間に姿を現したのはここ数年の話であるが、そのゲームの新しさ、奇抜さ、面白さが世界で評価され一躍大企業になった会社である。

 私のような゛ピコピコ゛とやっていたような時代の人間としては、ゲームの世界に入れるような時代が来たことを、未だに信じられないのが本心である。

 少し前までは頭に機器を装着して現実のようなゲームを楽しむだけであったのに、今では自分の感覚すらゲームの世界に持ち込めるようになったらしい。日進月歩とはよく言ったものだ。


 「ふむ。いや、よくわからないけれど、面白いなら良かったね狐ヶ崎。」


 「はい!いやー、流石ブルーキャットって感じです。」


 「でも、面白いだけじゃあ狐ヶ崎、君はそこまでは騒がないよね。ブルーキャットは何をしたんだい?」


 狐ヶ崎はいつも煩いが、ここまで落ち着きを無くすことは滅多にない。だからこそ興味を引かれて尋ねてみたのだが、さて何があったのだろうか。


 「犬さんもVRゲームをやったことはありますよね?」


 「ああ、少しだけどね。今みたいなやつじゃなくて、コントローラーを使う古いやつだったけど」


 「懐かしいですねぇ。ブンブン振り回して何回腕を机にぶつけたやら……って、まあそれはいいですよね。

 ええと、それがですね。VRって基本的にハードがデッカイじゃないですか。」


 「そうだねぇ。昔は据え置き用しかなかったし、それこそゲームセンターなんかには大きいものが置かれてあったのを思い出すよ」


 と言えば、そう!据え置きですよ!と興奮して叫ぶ狐ヶ崎。うら若き乙女が唾が飛ばして興奮しているのを見ると、なんだか悲しい気持ちで眺めてしまう。


 「それがですねぇ、まさか携帯機をすっ飛ばしてスマホでVRゲーム出来るようになるなんて!わたしゃ、ビックリしましたよ」


 ほら、見てください!何て言いながら携帯の画面を私に見せてくる。

 

 「one day」

 

 突き出された携帯の画面に写し出されている2単語。それがある日突然に、私の日常を非日常に変えたのだった。

 

 等と、日向に寝転びながら、私がこのone dayの世界へと入る原因となったあの日のことを思い出していた。

 ポカポカと暖かな太陽に暖められた私は、顎が外れそうなほど大きな欠伸をしながら、私は赤い屋根の上から人を見る。其処には様々な姿形のヒトが動いており、見ているだけで飽きないなと思う。

 人間と蜥蜴人が笑いながら門から外に出る。虎人と狼人の男女二人が喧嘩をしながら飯屋に入っていく。墓石を後生大事に抱きしめる幽霊の娘が路地裏で竜人を脅かしている。猫人と鼠人が仲良く好きな食べ物の話をしている。

 時代がかった話し方や、貴族のような尊大な話し方をするものもいる。一言も話さずジェスチャーのみで会話を試みるやつがいる。人形を介して話すやつもいるし、頭痛で頭が痛くなりそうな話し方をするやつもいる。


 本当に様々な人が其処にはいる。


 「one day」


 其処はブルーキャットによって創り出された新たな世界。異なる世界。違う私になれる場所。


 ゛ある日、目が覚めたら゛


 君は勇者になれる。魔王になれる。政治家になれる。社長になれる。馬鹿になれる。墓石になれる。人間になれる。竜人になれる。人魚になれる。幽霊になれる。

 

 君はあなたになる。

 

 勿論、猫にもなれる。

 私は野良猫と縄張り争いを繰り返す日々を過ごす三毛猫の雄である。

 モンスターと戦えば二秒で負ける。

 この前は鼠にボコボコにされて泣いた。

 ついでに言えばかぶと虫に勝てない。

 

 我輩は猫である。マジ弱い

 

 ある日目を覚ましたら猫だった。

 そんな世界で私犬山こと三毛猫の「ミケ三郎」が、この世界を気ままに散歩する物語である。

 

 

 

 

最初は短く、とりあえず次の一話まで投稿します、

あとはでき次第、修正でき次第ゆっくり出していきます

拙い作品でございますが、あなた様の暇つぶしになれるよう頑張ります

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