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彼女の失われた青春  作者: 蓮華
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1話 星の降る夜の出会い

なぜ俺には彼女がいないんだ。


顔は中の上くらい。背は170程度で細身体型。俗に言うもやしっ子というやつだ。チャームポイントはくせっ毛と八重歯。


運動は嫌いだが勉強はそれなりに出来るので優良物件とはいかないがそこそこな物件だと思う。


だと言うのに、非リア充歴が年齢と一緒でこのままだと魔法使いになっちゃうよぉ!


魔法使いは勘弁なので幼馴染みの花澤姫香に大事な話があると家に呼んだ。


「で、話ってなによ」


赤みがかったショートヘアー。童顔で男子からは人気があり、リア充の部類に入る。というかリア充よりビッチに近い。本人には決して言わないが。言ったら死んじゃうし。


ベッドで脚を組んで座り頬杖をつく姫香。とその正面めなぜか正座する俺。


おかしいここ俺の部屋なんだが・・・。


相談に乗ってもらうんだから我慢して話す。


「彼女が欲しい」


「・・・・・・は?」


「いやだから彼女が欲しいんだけど」


「大事な話ってそれ?」


「そうだけど」


「そんなことで呼びつけたの・・・」


呆れこめかみを押さえる。


そんなこととは失礼な。俺だってそういうお年頃なんだぞ!


姫香が深い溜息をつく。


「ど、どうすればいい」


「翔太」


「は、はい」


「無理よ」


てっきりアドバイスをくれるかと期待していたがバッサリと切り捨てられた。


「あの、もうちょっと考えてくれても」


「考えても結果は変わらないわよ」


えぇ・・・。一応理由を聞く。


「あんたにはまだ早いからよ」


なんでだよ!彼女作るのに早いとかないだろ。最近じゃあ、小学生ですらかなり進んでるんだぞ。小学生なんかに負けてられるかよ!


「彼女作る前にやることあるでしょ」


やれやれと首を振る。


「やること?」


彼女を作る前にやること・・・?やっぱり好きな人がいないのがダメなのか。なるほど!まずは、好きな人を作れと言うことですね!そこがクリアできて初めて告白してからのリア充エンドできるんですね!


だが、姫香の答えは違った。


「彼女より先に友達を作るべきでしょ」


何・・・だと・・・。確かに友達は姫香しかいない。それは認める。


「1人も友達いないのに彼女が欲しいなんて100年早いのよ」


1人も・・・?え、俺達友達じゃなかったの・・・。どうやら勘違いをしていたみたいだ。俺には友達は1人もいない。0だ。ZERO


「あんたと話す人ってあたしくらいでしょ」


小さい頃から付き合いだし友達というより腐れ縁てことなんだよな。きっとそうだよ、うん。あれ、おかしいな目から汗が止まらない。


「あの・・・どうしたらいいですかね」


心に大きな傷を負うもアドバイスだけは頂く。メンタル強くなかったら今頃しぬとこだったよ。よかった、メンタル強くて。ハハハはあ、死にたい。


「そういえば明日、流星群が見れるらしいよ」


なんでいきなり流星群の話?俺の恋路は!?


「もう、神頼みしかないっしょ」


丸投げされた。神頼みって・・・。どうやら手に負えないレベルらしい、末期だ。余命宣告されてもおかしくないレベル。


ていうか流れ星に祈るのは神頼みじゃないからな。


「じゃあ明日、学校終わったら学校の屋上来なさい。わかった?」


ということで明日、流れ星にお願いをすることになりました。




クラスでの俺の立ち位置は、吸っては吐き、吸っては吐きを繰り返す言わば空気洗浄機だ。クラスの空気を浄化あげてるんだから感謝して欲しい。


昼休みは基本的には屋上で過ごす。リア充が友達同士で机を並べて昼を食べる邪魔をしないための配慮だ。なんとこの空気洗浄機、空気を読む機能付き。今ならお買い得!なんと398円!(裏声)


まあ、冬は流石に無理だがな。なんたって北海道だから。雪国なめんな。


ということで冬だけはリア充には申し訳ないが教室で過ごす。なんだよこの空気洗浄機使えねぇ。


午後の授業は食後なので睡魔が襲ってくる。この時の対処法は決して抗おうとせずに睡魔に身を任せる。これが1番平和的。



気温が下がったことで目を覚ます。

午後の授業は寝て過ごしてしまったらしい。


「あ、やっと起きた」


姫香が前の席に座っていた。


姫香も同じクラスだが俺なんかとは違いリア充グループに所属している。


学校では幼馴染みがこんなんだと知られると姫香に悪影響が出るので距離を置いている。


それにしても寒い中待ってたのか。なんだか悪いことをした気分になる。


「起こしてくれてよかったのに」


「気持ちよさそうに寝てたから起こしずらくて」


外はすっかり暗くなり灯りが点いていた。


「そろそろ屋上行くか」


うんと頷き2人並んで暗くなった廊下を歩く。


屋上の扉に手をやるとすんなりと開いた。カギしてないのかよ。


この学校セキュリティ大丈夫か。


「それで、いつ頃見えるんだ?」


「7時のはずなんだけど」


時間を確認すると6時58分。ふむ、そろそろだな。


「ちはみにお前はなにをお願いするんだ?」


「言うわけないでしょ。こういうのは言わないで秘密にしておいた方が効果があるのよ」


そういうもんかね。あれ?こいつ俺の願い事知ってるじゃん。


なんだか叶わない気がしてきた・・・。


「7時になったけど見えないね」


「どうする?帰る?」


「もうちょっとだけ待ちなさいよ!なんですぐ帰ろうとするの!」


呆れられながら一緒に流星群を待つ。


あれこれ20分待ったが一向に見えてこない。つかさみぃ。


「なあ、流石にそろそろ帰らないとまずいだろ」


「・・・・・・そうね。学校閉まっちゃうし帰ろっか」


神にも見捨てられた。いいよ、1人で強く生きるから・・・。がんばれがんばれ|(震え声)


「翔太、あれ・・・。」


姫香が指さす方を見る。そこには、いくつもの星がまばゆい光を放ちながら夜空を駆け抜けていた。


「おお・・・」


人間、絶景を目の当たりにするとこんなことしか言えないらしい。


あまりの綺麗さに思わず魅入ってしまう。


「翔太!お願い!お願いしなきゃ!」


「ああ、そうだったな」


隣では姫香がぶつぶつ願い事を呟いていた。


俺も早くお願いしないと。最後の手段に賭け必死に願い事を呟く。


願い事を3回呟くといつもの夜空に戻っていた。


「なんてお願いしたの?」


「お前さっき言わない方が効果あるって言ってただろ・・・」


「いいじゃん減るもんじゃないし」


なんて自分勝手な・・・。


「別に、かわいい女の子に出会えますようにって願っただけだよ」


「なんで彼女ができるように願わなかったの?」


は?何を言ってんだよ。


「出会えても付き合えるかは別じゃん」


あああ!つい彼女が出来ると舞い上がって凡ミスしたあああ!


ああ・・・もうどうでもいいや。


・・・お前はなんてお願いしたんだよ」


「言うわけないでしょ、バカ」


こ、こいつ・・・。


「寒いし帰るぞ」


帰ろうと振り向くと塔屋の上に一人の少女が空を見上げていた。


「ねえ、あの子何してるのかな?」


「俺達と同じじゃねーの」


姫香が納得すると彼女に声をかける。


「あのー、あなたもそろそろ帰らないと学校閉まっちゃいますよー」


急に声をかけられたことに驚いたのかビクッと反応する。


それにしても来た時あんな子いたかな?


彼女がおずおずと話しかけてくる。


「あ、あの・・・私のことが見えるんですか?」


「「は?」」


意味不明な質問についハモってしまった。


何を言ってるんだこの子は。


「はあ・・・一応見えますが」


うんうんと姫香が頷く。


「そう、見えるのね」


「さっきから何を言って」


彼女が塔屋から降りてくる。階段を使わずに飛び降りて。


彼女はまるで月にいるかのようにゆっくりと降りてきてふわりと着地する。


近く見ると長くてツヤツヤとした黒髪に綺麗な顔立ちをしていて、思わず見とれてしまった。


「きれい・・・・・・」


姫香がほわぁ・・・と呟く。


ふっとあることに気づいた。


辺りはすっかり暗く、灯りも月明かりだけ。


それだと言うのに彼女の姿ははっきりと見える。


「あんた、何者なんだ?」


すると、彼女はニコッと微笑む。


「私はね、もう死んでるの」


何を言ってるんだと彼女に手を伸ばすも彼女に触れることなく空を切る。


ああ、どうやら彼女の言うことは本当らしい。


さっき願ったばかりだと言うのにさっそく叶ってしまったようだ。その子は幽霊だったけど。


だんだん意識がホワイトアウトしていった。


ラブコメの神様、これはないよ。


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