存在価値
人は親切にふるまうと
相手からもそうしてほしいと願う
だから相手からリターンがないと
自分ばかりが損をしていると感じる
けれど、親切にした時点で
相手からすでにリターンはある
その人が存在しなければ
あなたは親切にすることができない
だからリターンはその瞬間に返ってきてる
自分を満足させるという行為が
親切という形をとったのだ
そしてそれが偽善や憐みだとしても
その人からリターンを得る必要はない
その行いはぐるりぐるりと
巡って別の場所から戻ってくる
だから相手からのリターンなど
期待する必要はないんだ
そして誰かに親切にされたなら
その人にお礼を言えばいい
それ以上の何かなど必要ない
あなたは
悩み
苦しみ
困ることで
誰かの好意を満足させることが
できるのだから
それだけで十分に存在価値があるのだ
その人にお礼の言葉だけしか
返せなくても
それだけで十分
なによりも不親切な人を喜ばせる
自分より不幸な人間がいることで
勝手に安心する人々が
だから誰しもが存在価値があるのだ
何もしなくても
幸福感を得られなくても
その存在は他人の憐みややっかみを
癒しているのだ
だからどんな人間にも存在価値がある
何かなさなければ価値がないのではない
存在することそのものが
他者を満足させるのだ
例え不幸の中にいようと
孤独の中にいようと
孤立していると感じようと
あなたの存在価値は損なわれない
あなたが辛い時間を過ごしている間
それを見て幸福に浸っている誰かがいる
木々が真っすぐ伸びずに歪んでいても
花が季節外れに狂い咲いても
天気予報が外れても
大気が汚染されていても
私たちの日常は常に変化しながら
今という時間を紡いでいく
自分の存在価値とは
存在していることそのものだよ
何も心配はいらない
辛い時間でも
楽しい時間でも
そこにあなたが存在すること
それが価値
憎まれても
蔑まれても
疎まれても
愛されても
恋されても
やさしくされても
あなたが存在するから
起こるできごと
本当は存在するだけで
あなたには価値があるのだ
ただ、人は貪欲で身勝手だから
勝手に期待して
勝手に失望する
善意の行いは
ぐるぐるとまわって
困っている時に
帰ってくることを知らないから
相手からのリターンなど
無意味だと気が付かないでいると
善行をなしても
心は醜さに支配されてしまうよ
相手を支配したつもりで
相手に縛られているのはあなた
だから自分の行為に価値がないと思っても
行動することは見えない波長のように
見知らぬ誰かに届いているのだ
目の前の人に何も返せなくても
あなたには存在するだけで価値がある
どんなに存在を否定されても
否定こそがあなたの存在を認めている証拠
あなたがうらやましいと
無意識にあなたの存在を認めているのだ
醜い自分の心に気が付かず
誰かの支配下にあることに気づかず
あなたを否定することでようやく
安心を得られる可愛そうな愚か者
だからあなたはそんな人間にさえ
必要とされているのだ
けれど悪意には反旗を掲げろ
苦痛に耐えずに逃げてしまえ
存在することがあなたの価値
偽善や悪意からの支配から逃走し
生き残ることがあなたの勝ち
ただ生きている
それだけですべての者に価値があるのだ