次回予告を、甘めでお届けいたします。(『合コンと書いて・・・』編)
ユリ【大人型】が、フンゾンとイターセの前に跪いている。
後ろからずるりと這い寄ったスライムは、気安い声で尋ねる。
「願い事か。」
「恋愛、成就。」
「そうか、そういうご利益もあるらしいからな。」
さらりと流れる銀髪に、スライムは所在無く視線をくれて立ち尽くした。
……王となる女……
彼女自身がどう思おうと、周りは勝手な恋愛を赦しはしないだろう。この美しい女は、婚姻すらもが権力の道具にされる、そんな悲しい宿命を背負っているのだから。
(せめて、旦那になる男だけは……)
そんな汚い欲ではなく、純粋な愛情で彼女を見てくれるように……
スライムは、心の中で魔族神であるイターセに祈った。
(許されねぇことは解っている。別に、ユリとどうにかなろうと思っちゃいないさ。だが、祈るぐらいは、許してくれるだろ?)
……ユリの心にある恋心の、ひとかけらで良い。ただ、ほんの少しだけでいいから、俺のことを……
「スラスラ、祈り?」
「俺には祈ることなんか何もねぇよ。こと色恋に関しちゃあ、『縁遠い』と書いてスライムと読むぐれぇだ。祈ったぐらいじゃ……」
「ユリ、婚姻。」
「婿に行けなかったら、貰ってくれるってか? ンな気ぃ使わねぇで、お前はちゃんと好きな男の所に嫁に行けよ。」
「クイテス=ニーナクーオツ=イーニ=ウィ=イイウミスーナキ=ヒニアネメータエ=ナチウェシ=ウィ(いま、好きだと言ってしまったら、周りはきっとあなたをつぶそうとするから)……」
「また、訳の解ンねぇ古代語なんか使いやがって。」
「いつか、言う。」
「ああ? 何をだよ。」
少し離れた物陰で、それを見守るヤヲと……
「バカップル、滅すべし……」
「やめてください、作者。それよりも、今回はかなり苦しんでましたね。」
「うううう、五月病の気があンだよ。」
「それを利用して、スラスラのド暗い過去を書こうとした事は認めます。」
「その反動で、次の話がサクサク筆が進んじまってよぉ。」
「もう、書きあがっているんですよね。」
「おう、とりあえず、次回予告をしておいてくれ。」
「ええええと……この次は、あの馬鹿スライムめがラブゆえに散々迷走します。そのせいでユリ様がデートしたり、スライムが合コンに行ったり……」
「ちょっと待て! お前の説明も迷走しているぞ。」
「……戦闘シーンは、作者入魂の一幕! 試読させた息子から『ファンタジーなのにこの武器で戦うってどういうことよ』とお墨付きをいただきました。」
「でも、ファンタジー的にありな武器だよね。伏線もちゃんと張ったし。」
「ところで……」
「んん?」
「『合コン』ってなんですか?」
「……」